結論ですが
「ホルモン補充療法」をしている場合、注意が必要な「症状」があります。
この記事は「更年期障害に悩んでいる」女性に向けて書いています。
更年期障害に関するさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ホルモン補充療法中に注意すべき症状」についてわかります。
最近イライラしやすくなった…
ほてりがひどいです!!
これって更年期障害なの!?
このような悩みや疑問にお答えします。
女性ホルモンである「エストロゲン」が低下していくことで「閉経」になっていきます。
「エストロゲンの低下」によって、40代から50代にかけての「更年期」にさまざまな症状や体への影響をきたすことになります。
その症状が日常生活に影響を及ぼすようになると「更年期障害」といわれます。
更年期障害は、不足した「エストロゲン」を補うホルモン補充療法がおこなわれます。
ホルモンによる治療は副作用など心配…
このように考える人は多いです。
実際に、ホルモン補充療法には、いくつか有害事象があり、それにともなう注意が必要な症状があります。
今回は「ホルモン補充療法中に注意すべき症状」について説明したいと思います。
この記事のまとめ
ホルモン補充療法とは?
「ホルモン補充療法」(HRT)とは、不足した「エストロゲン」(女性ホルモン)を補うことで、更年期障害を改善する治療法です。
更年期障害では、「エストロゲン」の低下によって、「自律神経症状」「精神神経症状」「運動器症状」「消化器症状」など様々な症状を呈します。さらに、エストロゲンの低下によって、「骨粗しょう症」になりやすく、「脂質代謝異常症」や「血管の弾力性低下」により「動脈硬化」や「心血管疾患」につながります。
ホルモン補充療法は、「ほてり」「のぼせ」「発汗」などの症状にとくに効果があります。さらに、将来の「骨」や「血管」などの健康管理にも効果を発揮してくれます。
ホルモン補充療法には「効果」もありますが、「有害事象」が起こることもあります。
実際に、ホルモン補充療法には、いくつか有害事象があり、それにともなう注意が必要な症状があります。
今回は「ホルモン補充療法中に注意すべき症状」について順に説明していきます。
ホルモン補充療法中に注意すべき症状1：ふくらはぎの痛み、むくみ
ふくらはぎの痛み・むくみに注意
ホルモン補充療法中に「ふくらはぎの痛み」「むくみ」の症状が現れた場合は、「下肢深部静脈血栓症」が疑われます。
ホルモン補充療法において、「経口エストロゲン」を使う場合に「血栓症」リスクが上がります。そのため、「ふくらはぎの痛み」「むくみ」の症状が現れた場合は、「下肢深部静脈血栓症」の可能性を考えます。
血栓症・血栓塞栓症とは
「血栓症」とは、血液のかたまり(血栓)が作られてしまう状態のことをいいます。
その血栓が血液のながれにのって、血管を詰まらせてしまうことを「血栓塞栓症」といいます。
ACHESとは
血管は全身に張り巡らされています。血栓が血管が詰まる場合、その詰まる場所によって疾患の名前が付いています。
そして、血栓が各血管に詰まった場合、それぞれ症状が現れますが、頭文字をとって「ACHES」(エイクス)と呼ばれます。
下肢深部静脈血栓症とは
下肢の静脈に血栓が出来た場合を「下肢深部静脈血栓症」といいます。
「ふくらはぎの痛み」「下肢のむくみ」「歩行時の痛み」などの症状が見られます。
とくに、下肢静脈の血栓が剥がれて、血流にのって肺の血管を詰まらせてしまうと「肺血栓塞栓症」が起こり、命を落とす可能性があるので、注意が必要です。
ホルモン補充療法中に注意すべき症状2：突然の息切れ、胸の痛み
突然の息切れ、胸の痛みに注意
ホルモン補充療法中に「突然の息切れ」「胸の痛み」の症状が現れた場合は、「肺血栓塞栓症」「心筋梗塞」などが疑われます。
ホルモン補充療法において、「血栓症」や「心血管疾患」がリスクが上がります。そのため、「突然の息切れ」「胸の痛み」の症状が現れた場合は、「肺血栓塞栓症」「心筋梗塞」などの可能性を考えます。
肺血栓塞栓症とは
「肺血栓塞栓症」は、肺の血管に「血液のかたまり」(血栓)が詰まった場合をいいます。
「突然の息切れ」「胸の痛み」「喀血」(血液を吐いてしまうこと)などの症状が見られます。
「下肢深部静脈血栓症」から、下肢静脈の血栓が剥がれて、血流にのって肺の血管を詰まらせて「肺血栓塞栓症」になってしまうケースが多いです。命を落とす可能性がある疾患なので、注意が必要です。
心筋梗塞とは
「心筋梗塞」は、冠動脈が詰まって十分な血流がなくなった状態のことを言います。
心臓を栄養している血管を「冠動脈」といいます。「冠動脈」が詰まって十分な血流がなくなった状態を「心筋梗塞」と言います。
「突然の息切れ」「胸の痛み」「呼吸困難」などの症状を来します。命を落とす可能性がある疾患なので、注意が必要です。
ホルモン補充療法中に注意すべき症状3：激しい頭痛
激しい頭痛に注意
ホルモン補充療法中に「激しい頭痛」などの症状が現れた場合は、「脳卒中」が疑われます。
ホルモン補充療法において、「脳卒中」のリスクが上がります。そのため、「激しい頭痛」などの症状が現れた場合は、「脳卒中」の可能性を考えます。
脳卒中とは
「脳卒中」とは、「脳梗塞」や「脳出血」などの脳の血管の病変が起こることを言います。
脳の血管が詰まることを「脳梗塞」、脳の血管が破裂して出血することを「脳出血」といいます。これら脳の血管の病変をあわせて「脳卒中」または「脳血管障害」と呼ばれます。
「突然の激しい頭痛」「持続性の頭痛」「失神」(一時的に意識を失う状態)「片麻痺」「ことばのもつれ」「意識障害」などの症状を来します。
命を落とす可能性がある疾患なので、注意が必要です。
ホルモン補充療法中に注意すべき症状4：失神、舌のもつれ
失神、舌のもつれに注意
ホルモン補充療法中に「失神」「舌のもつれ」などの症状が現れた場合は、「脳卒中」が疑われます。
ホルモン補充療法において、「脳卒中」のリスクが上がります。そのため、「失神」「舌のもつれ」などの症状が現れた場合は、「脳卒中」の可能性を考えます。
失神とは
失神とは、一時的に意識を失うことを言います。
失神は、基本的に一時的に意識を失うことを言い、短時間のうちに意識が改善されます。
これに対して、意識障害は、意識を失った状態が持続します。
脳卒中では、「失神」「意識障害」のいずれの症状も起こる可能性があります。
ホルモン補充療法中に注意すべき症状5：目のかすみ、視野の消失
目のかすみ、視野の消失に注意
ホルモン補充療法中に「目のかすみ」「視野の消失」などの症状が現れた場合は、「網膜動脈血栓症」が疑われます。
ホルモン補充療法において、「血栓症」のリスクが上がります。そのため、「目のかすみ」「視野の消失」などの症状が現れた場合は、「網膜動脈血栓症」の可能性を考えます。
網膜動脈血栓症とは
「網膜動脈血栓症」は、網膜の動脈に血栓が出来た状態のことをいいます。
目のひとみの奥の方に網膜があります。その網膜を栄養している動脈「網膜動脈」に血栓が出来た状態のことを「網膜動脈血栓症」といいます。
「視野の消失」「視野が二重にみえる」「まぶたの下垂」などの症状を来します。
視力が低下して、失明する可能性がある疾患なので、注意が必要です。
まとめ
今回は「ホルモン補充療法中に注意すべき症状」について説明してきました。
ホルモン補充療法を使う時に、くすりの特徴を把握しておくことが重要です。
くすりには「効果」などのメリットもあれば、「副作用」「有害事象」などのデメリットもあります。
効果や有害事象などくすりの特徴を把握することによって、より安全にくすりを使うことが出来るのです。
「クスリはリスク」と昔から言われます。
リスクをマネジメントすることで、クスリを安全に使用することができます。
ホルモン補充療法中に現れる症状に注意して、安全にくすりを使うようにしましょう。
この記事によって「ホルモン補充療法」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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