結論ですが
神経性食思不振症とは、「やせ」に逃避することで、現実のストレスを回避するような心理的要因によって「過度の食事制限」をしたため、著しい「やせ」を来たす疾患のことです。
この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気の悩みが解決できればと思っています
この記事を読むことで「神経性食思不振症」についてわかります。
- モデルのようにやせたいです!
- たべものを食べたくないです!!
- 食べても吐いてしまいます!?
このような症状で悩んでいるときには「神経性食思不振症」が隠されている場合があります。
あなたのまわりに「やせすぎ」の人はいませんか?
じつは「神経性食思不振症」の可能性があります。
本人はとくに問題なく生活を送っているため、病気だと認識していない場合が多いです。家族やまわりが心配して病院に連れていくと、「神経性食思不振症」だとわかる場合があります。
神経性食思不振症と言われたけど、何をすればいいの?
この疑問にお答えします。
今回は「神経性食思不振症」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 神経性食思不振症とは、現実のストレスを回避するため「やせ」に逃避することで、「著しいやせ」を来たす疾患のことです。
- 神経性食思不振症では、「体重減少」「食行動の異常」「無月経」などの症状がおこります。
- 神経性食思不振症の原因は、「ボディイメージの障害」(認知障害)です。
- 神経性食思不振症は、「血液検査」「バイタルサイン」「他の体重減少の原因検索」などの検査をおこないます。
- 神経性食思不振症は、「栄養療法」「心理的療法」「無月経の治療」などの治療をおこないます。
神経性食思不振症ってなんですか?
神経性食思不振症とは、「やせ」に逃避することで、現実のストレスを回避するような心理的要因によって「過度の食事制限」をしたため、「著しいやせ」を来たす疾患のことです。
10代半ばから30歳までの女性に起こりやすいです。
また、病気だという認識に乏しく、活動性は高いという特徴があります。
神経性食思不振症の症状は?
体重減少
神経性食思不振症では、食事をとらない「拒食」や「過食+排出行為」から「著しいやせ」となります。標準体重の20%以上の「体重減少」が認められます。
たとえば、身長160cmの場合では、標準体重は「56kg程度」ですが、「体重が45kg以下」の「著しいやせ」になることになります。
食行動の異常
神経性食思不振症では、食事をとらない「拒食」や「過食+排出行為」などの食行動の異常が認められます。
「排出行為」とは、食べた食べ物を体の外に排出するためおこなう行為のことです。たとえば、自分で口の奥に指をつっこんで吐こうとする「自己誘発性嘔吐」、「下剤・利尿薬の乱用」、「浣腸の乱用」などがあります。
無月経
神経性食思不振症では、栄養不足から生理が来なくなる「無月経」が起こります。
栄養が不足すると、必要最低限のカロリーで生命活動ができるように、栄養の分配が変わります。低栄養状態では、生理を司る部分への栄養が不十分となるため「無月経」につながります。
神経性食思不振症の原因
神経性食思不振症の原因は、「ボディイメージの障害」(認知障害)です。
「体重増加」や「肥満」に対する極端な恐怖をもつため、「やせ」に逃避することになります。
また、メディアから発信される「やせすぎのモデル」などが華々しく映っており、それに対する憧れることなどから「ボディイメージの障害」(認知障害)につながります。
神経性食思不振症の検査は?
血液検査
血液検査をおこないます。
飢餓状態を反映して「血球減少」(白血球・赤血球・血小板などの減少)、「肝機能障害」「脂質代謝異常」「低血糖」などの検査異常を認めます。
また、低栄養状態になると「エストロゲン低値」「プロゲステロン低値」となり、「無月経」が認められます。甲状腺ホルモンである「T3低値」となります。
バイタルサイン
バイタルサインとは、人間が生きていることを示す指標のことでありい、「血圧」「脈拍」「呼吸」「体温」の4つを差します。
神経性食思不振症では、体の代謝の低下を反映して、「低血圧」「徐脈」(脈がゆっくりとなる)「低体温」などが認められます。
他の体重減少の原因検索
神経性食思不振症の診断は、「体重減少の原因となる明らかな病気」がないことが前提となります。
体重減少の原因として、「悪性腫瘍」(がん)、消化不良となる「消化器疾患」、食欲が低下する「うつ病」、消費エネルギーが増加する「甲状腺機能亢進症」、「アルコール依存症」などが挙げられます。これらの検査異常がないことを確認します。
神経性食思不振症の治療は?
栄養療法
基本的には口からの栄養摂取「経口摂取」が基本になります。
食欲がない場合には「食事の工夫」が大切です。一回の食事では十分な量を食べれないようであれば「少量頻回」の食事に変えます。また、食欲がでるような「香り」を付けたり、できるだけ「カロリーの高い食事」をとるなどの工夫が重要です。
また、どうしても「経口摂取」が不可能な場合には、「他の栄養方法」を考慮します。必要なカロリーや栄養を補うために「経管栄養」や「点滴」「高カロリー輸液」など行われることがあります。
心理的治療
神経性食思不振症の原因は、「ボディイメージの障害」(認知障害)です。
その「認知」を変えることで「行動」を変えていく「認知行動療法」がおこなわれます。
また、「支持療法」「対人関係療法」などの心理的治療がおこなわれます。
無月経の治療
神経性食思不振症では、栄養不足から生理が来なくなる「無月経」が起こります。基本的には、栄養状態が改善されると、生理が来るようになります。
必要に応じて「カウフマン療法」(エストロゲンとプロゲステロンを周期的に補充する治療)などが行われます。
まとめ
- 神経性食思不振症とは、現実のストレスを回避するため「やせ」に逃避することで、「著しいやせ」を来たす疾患のことです。
- 神経性食思不振症では、「体重減少」「食行動の異常」「無月経」などの症状がおこります。
- 神経性食思不振症の原因は、「ボディイメージの障害」(認知障害)です。
- 神経性食思不振症は、「血液検査」「バイタルサイン」「他の体重減少の原因検索」などの検査をおこないます。
- 神経性食思不振症は、「栄養療法」「心理的療法」「無月経の治療」などの治療をおこないます。
神経性食思不振症と診断された場合は、どうすればいいのかわからないかと思います。とくに、神経性食思不振症では病気だという認識に乏しく、治療をしたくない場合や、本当に治療が必要なのか疑問に思うことでしょう。
女性の場合だと、栄養不足から「無月経」となります。
すると妊娠することが困難となってしまいます。
栄養が不足した状態の場合では、こどもをつくるためのエネルギーを犠牲にして、生命活動にエネルギーを優先的に使われるようになるからです。
神経性食思不振症と診断された場合は、栄養状態をしっかりと改善していくことが必要になります。それとともに、心理的なサポートなどの根本的なアプローチも必要です。
なかなか病気だという自覚がないために難しいかもしれませんが、「神経性食思不振症」と診断された場合は、担当医の指示を守るようにしましょう。
この記事によって「神経性食思不振症」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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