結論ですが
過活動膀胱とは、おしっこが十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気です。
この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気の悩みが解決できればと思っています
この記事を読むことで「過活動膀胱」についてわかります。
- おしっこが近いです!
- トイレまで我慢できないです!!
- 急におしっこがしたくなります!?
このような症状で悩んでいるときには「過活動膀胱」である可能性があります。
おしっこの悩みは、なかなか人に相談できないかと思います。
ひとりで抱え込んでしまっている場合も多いです。
「過活動膀胱」と診断された場合は、どうすればいいの?
この疑問にお答えします。
今回は「過活動膀胱」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 過活動膀胱とは、おしっこが十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気です。
- 過活動膀胱では、「尿意切迫感」「切迫性尿失禁」「頻尿」などの症状がおこります。
- 過活動膀胱は、「脳と膀胱を結ぶ神経のトラブル」、「骨盤底筋群の障害」、男性の場合では「前立腺肥大症」が原因として挙げられます。
- 過活動膀胱では、「過活動膀胱質問票」「排尿日誌」「尿検査」「血液検査」「内診」「尿流量測定」「Padテスト」「ストレステスト」「残尿測定」「膀胱・尿道内圧測定」「チェーン膀胱造影検査」などの検査がおこなわれます。
- 過活動膀胱は、「くすり」「理学療法」「骨盤底筋体操」「行動療法」などの治療が行われます。
過活動膀胱ってなんですか?
「過活動膀胱」とは、おしっこが十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気です。
その結果、「急に我慢できないような尿意が起こる」「トイレが近い」「おしっこを我慢できずに漏らしてしまう」などの症状が起こります。
実は、このようにおしっこの症状で悩んでいる人は多いのです。
命にかかわる病気ではないですが、「生活の質」に関わる重要な問題です。なかなか、おしっこの症状は恥ずかしいかもしれませんが、勇気を出して受診するようにしましょう。
過活動膀胱はどのような症状がありますか?
尿意切迫感
急におしっこがしたくなり、漏れそうで我慢できない状態を「尿意切迫感」といいます。
日常生活で、外出中に近くにトイレがない場面や、席を外せない重要な会議の場面などで、とても困ってしまうことになります。
切迫性尿失禁
急におしっこがしたくなって(尿意切迫感)、我慢できずに尿がもれてしまうことを「切迫性尿失禁」とよばれます。
頻尿
おしっこの回数が多いことを「頻尿」といいます。
通常のおしっこの回数は日中で「5-7回」程度であり、夜間は「0回」だと言われています。
おおよその目安ですが、日中「8回」以上のおしっこをする場合、夜間に「1回」でもおしっこのために起きるようであれば、「頻尿(夜間頻尿)」と言えます。
過活動膀胱の原因は?
神経因性過活動膀胱
「脳から膀胱への指令」によって、おしっこをためる・おしっこを出すを調整しています。
脳と膀胱を結ぶ神経のトラブルが「過活動膀胱」につながりますが「神経因性過活動膀胱」とよばれます。
たとえば、「脳出血」「脳梗塞」などの「脳血管障害」、「パーキンソン病」「多発性硬化症」「脊髄損傷」の後遺症などが原因となります。
骨盤底筋群の障害
おしっこをためたり、出したりするためには、尿道のまわりの「外尿道括約筋」や「骨盤底筋群」がとても重要です。
とくに女性の場合は、加齢や出産の影響によって、骨盤底筋が弱くなってしまうため、おしっこの調整がうまくいかず「過活動膀胱」につながります。
その他
男性の場合では「前立腺肥大症」が原因で過活動膀胱になります。
これは、おしっこの出口が狭くなってしまい、おしっこが出にくい状態となります。膀胱に負荷がかかり、膀胱の筋肉が障害を受けて、すこしの刺激でも過敏に反応し「過活動膀胱」につながります。
それ以外にも、何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働いてしまう場合や、いくつかの原因が複雑に絡み合っている場合、原因が特定できない場合などがあります。
過活動膀胱の検査は?
過活動膀胱質問票
過活動膀胱が疑われるときは、「過活動膀胱質問票」(OABSS)という問診表がつかわれます。
排尿日誌
ご自身で、数日間のおしっこの状態を記録してもらいます。
「1日の排尿回数」「夜間尿の回数」「1回の排尿量」「尿意切迫感」などを記録します。
過活動膀胱の診断や、おしっこの症状でどの程度生活に支障が来しているのか重症度を判断できます。
尿検査
おしっこの成分を検査して、感染症の可能性がないか調べます。
感染症による膀胱炎によって「頻尿」などの過活動膀胱のような症状を来している場合があります。
血液検査
血液検査のうち、「腎臓の機能」「炎症反応」などをおもに確認します。
内診
「子宮脱」「膀胱瘤」「直腸瘤」などの「骨盤臓器脱」がないか診察します。
骨盤底筋が弱くなると、「骨盤臓器脱」にくわえて「過活動膀胱」の原因となります。
尿流量測定
測定装置のついてトイレでおしっこをします。
1回の排尿にかかる時間・尿の量・尿の勢い・排尿パターンなどを検査します。
Padテスト
水分をとった後に、60分間決められた動作や運動をおこないます。
検査前後のパッドの重さを測定して、尿漏れの重症度を評価します。
ストレステスト
咳やお腹に力をかけて、実際に尿が漏れるかどうか確認します。
残尿測定
おしっこした後に、膀胱の中におしっこがどの程度残っているのか検査します。
膀胱・尿道内圧測定
尿道から膀胱に「カテーテル」(細長い管)を挿入し、その管から水を少しずつ入れて、おしっこをためる時やおしっこする時の膀胱や尿道の圧力を測定します。
チェーン膀胱造影検査
膀胱にチェーンのついた「カテーテル」(細長い管)を挿入し、造影剤を注入します。膀胱の出口付近の広がり具合や、膀胱と尿道の角度などを検査します。
過活動膀胱の治療は?
くすり
「抗コリン薬」「β3(ベータスリー)作動薬」などのくすりを使用します。
以前は「飲み薬」がメインでしたが、「口内乾燥」「便秘」などの副作用が多かったです。近年では、ゆっくりとくすりが吸収される「貼り薬」が使用されることが多いです。
理学療法
「干渉低周波」「磁気刺激」による理学療法がおこなわれます。
「低周波」や「磁気」による刺激を利用して、「膀胱の余計な収縮をおさえること」「膀胱括約筋の強化」などの効果があり、過活動膀胱の改善効果が得られます。
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操では、尿道のまわりの「外尿道括約筋」や「骨盤底筋群」を鍛えます。肥満の方や、最近急に太った方には減量が有効なことがあります。
行動療法
日常生活を工夫することで尿失禁が改善することがあります。
たとえば、「飲水コントロール」(摂取する水分をコントロ-ルする)、「膀胱訓練」(尿意があっても少しガマンする)、「骨盤底筋体操」をするなどおこないます。
その他
男性で「前立腺肥大症」があれば、その治療を優先します。
原因不明の場合やストレスが原因と考えられる場合は、その対応をします。
まとめ
- 過活動膀胱とは、おしっこが十分たまっていなくても、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気です。
- 過活動膀胱では、「尿意切迫感」「切迫性尿失禁」「頻尿」などの症状がおこります。
- 過活動膀胱は、「脳と膀胱を結ぶ神経のトラブル」、「骨盤底筋群の障害」、男性の場合では「前立腺肥大症」が原因として挙げられます。
- 過活動膀胱では、「過活動膀胱質問票」「排尿日誌」「尿検査」「血液検査」「内診」「尿流量測定」「Padテスト」「ストレステスト」「残尿測定」「膀胱・尿道内圧測定」「チェーン膀胱造影検査」などの検査がおこなわれます。
- 過活動膀胱は、「くすり」「理学療法」「骨盤底筋体操」「行動療法」などの治療が行われます。
おしっこの症状で悩んでいる場合、どうすればいいのかわからないかと思います。とくに日常生活に支障が出てくる場合や、症状がひどくて困っている場合には、専門医を受診するようにしましょう。
女性であれば、婦人科や泌尿器で、男性であれば泌尿器科で相談するようにしましょう。
ただし、婦人科でも過活動膀胱などのおしっこの症状を診察することが出来ない場合もあるので、事前に調べておくと良いでしょう。
婦人科の受診は、ためらわれる人が多いかと思います。
女性のデリケートな部位の診察になるので、受診のハードルは高いかと思います。
おしっこの症状で悩んでいる場合には勇気をもって受診するようにしましょう。婦人科は困った人の味方です。
「過活動膀胱」と診断された場合はどのようにするかについて説明しました。
補足すると、過活動膀胱と診断した場合には、まずは「くすりによる治療」をおこなう場合が多いです。骨盤底筋が弱くなっている場合には、「骨盤底筋体操」を加えて治療を行います。
それでも改善しない場合には、泌尿器科や排尿障害の専門医に紹介して、「理学療法」や、さらなる専門的な診察をおこない、それに応じた治療が行われます。
この記事によって「過活動膀胱」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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