医療機関を受診して、卵巣が腫れていると言われた方に向けての記事です。
卵巣が腫れていると言われましたが大丈夫ですか?
卵巣腫瘍ってがんなのですか?
今後、どうすればいいですか?
このような疑問にお答えします。
医療機関を受診して、卵巣が腫れていると指摘される人は意外と多いです。
「まさか自分が引っかかるとは!?」と不安に感じるかとおもいます。
無症状でも卵巣が腫れていることもあります。
とくに心配のいらない卵巣の腫れもあれば、知らないうちに悪化するもの、実は悪性腫瘍(がん)であるケースもあります。

では、卵巣が腫れていると言われたらどうすればいいですか?
今回は、「卵巣が腫れている場合にどうすればいいか」について説明します。
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卵巣腫瘍って何ですか?

「卵巣腫瘍」
→卵巣のう腫(良性腫瘍が多い)、充実性腫瘍(悪性腫瘍が多い)
卵巣腫瘍とは、卵巣が腫れて、腫瘍が出来ている状態
卵巣腫瘍とは、卵巣が腫れて、腫瘍が出来ている状態のことを言います。
「卵巣」は最も腫瘍が出来やすい臓器であると言われています。
「卵」は受精すると赤ちゃんが形成されるくらいなので、「卵巣」にはあらゆる体の構造を形成する能力があるので、さまざまな種類の腫瘍ができます。
卵巣腫瘍は、主に「卵巣のう腫」と「充実性腫瘍」の2つ
卵巣腫瘍は大きく「卵巣のう腫」(のう胞性腫瘍)と「充実性腫瘍」の2つに分けられます。
「卵巣のう腫」は、液体や内容物が袋みたいな構造の中に貯まって腫れている状態を言います。
「充実性腫瘍」は、かたい腫瘍のかたまりが出来て腫れている状態を言います。
卵巣腫瘍の多くは「卵巣のう腫」
「卵巣腫瘍」の約90%は「卵巣のう腫」(のう胞性腫瘍)です。
そして、卵巣のう腫のほとんどは良性の卵巣腫瘍です。
一方、「卵巣腫瘍」の約10%は「充実性腫瘍」です。
充実性腫瘍では、悪性腫瘍(卵巣がん)である可能性が高いです。
卵巣のう腫は、どのような種類がありますか?

漿液性のう腫
漿液性のう腫は、卵巣の中に「漿液」(さらっとした液体)が貯まって、袋状に腫れて、形成されます。10-30代の若い女性によく見られ、頻度が高い腫瘍のひとつです。
粘液性のう腫
粘液性のう腫は、卵巣の中に「粘液」(ドロっとした液体)が貯まって、袋状に腫れて、形成されます。閉経後の女性によく見られ、放置するとかなり大きくなることがあります。
皮様のう腫
「皮様のう腫」は、「脂肪」「髪の毛」「歯」などの組織の成分がたまった卵巣腫瘍です。「皮様のう腫」は「成熟のう胞性奇形腫」とも呼ばれています。
良性の「卵巣のう腫」の中で最も頻度が多く、卵巣腫瘍全体の「約20-30%」程度を占め、とくに若年女性に多くみとめられます。
チョコレートのう胞

「チョコレートのう胞」は、本来子宮の中にあるはずの「子宮内膜」が卵巣に発生することで起こります。
「チョコレートのう胞」は「子宮内膜症」病変のひとつであり、「卵巣子宮内膜症性のう胞」ともよばれます。卵巣の中には、古い出血がたまっていて「チョコレート」のようになっているところから、「チョコレートのう胞」という名前が付けられています。
卵巣腫瘍は、どのような症状がおこりますか?

基本的に無症状
卵巣腫瘍では、卵巣が腫れているだけであると、基本的に症状はないです。
なので、卵巣の腫れに気づかないで過ごす人が多いです。子宮のがん検診で一緒にエコーをした場合や、妊娠をきっかけに産婦人科を受診して初めてわかる場合も多いのです。
急激な腹痛
卵巣腫瘍は基本的に無症状です。しかし、卵巣腫瘍が捻じれたり、破裂すると、急激な腹痛を来します。捻じれを解除したり、卵巣のう胞の内容液がお腹の中に広がったりしている可能性があるため、基本的には緊急手術による治療が必要になります。
腹部圧迫感
卵巣腫瘍では、卵巣の腫れが大きくなりすぎると、下腹部全体的に圧迫される感じが生じます。とくに膀胱が圧迫されると、「頻尿」などの症状が起こります。場所によっては腸が圧迫されて「便秘気味」になることもあります。
がん化
とくに「皮様のう腫」「チョコレートのう腫」では、その病変が「がん化」して「卵巣がん」が発生することがあります。
不妊症
とくに「チョコレートのう腫」では、「子宮内膜症」による癒着などから不妊症につながります。
ベースにある「子宮内膜症」によって、とくに卵管まわりが癒着してくっついてしまうと、「精子」や「卵」「受精卵」の通り道が妨げられてしまい「不妊症」につながります。
卵巣腫瘍は、どのような検査が行われますか?


内診
両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」「卵巣」を診察します。子宮や卵巣の腫れがないか、動きは大丈夫かなど確認します。
画像検査
まずは簡便にできるエコー検査で「卵巣の腫れ」がないか確認します。また「腹水」というお腹の中に水がたまっていないかも確認します。
病変を認めた場合、「CT」「MRI」などの画像検査を検査し精密な評価をしていきます。
血液検査
血液検査で、がんの場合に上昇してくる「腫瘍マーカー」というものを検査します。CA125・CEA・CA19-9・AFPなどの項目があります。
ただし、ごく初期の卵巣がんでは「腫瘍マーカー」が上昇しないこともあったり、「腫瘍マーカー」が高くても卵巣がんではないことがあります。
卵巣腫瘍は、どのような治療が行われますか?

卵巣腫瘍の治療は、卵巣腫瘍の種類によって治療方針が違います。
また、痛みなどの症状の程度、病変の部位、今後の子供の希望、年齢など総合的に判断して行われます。
経過観察
明らかな良性の卵巣腫瘍であり、サイズは大きくなく、無症状であれば経過観察をすることがあります。ただし、経過をみて大きくなってきたり、症状が現れてくるようであれば、手術ふくめ治療を行います。
対症療法
とくに「チョコレートのう腫」では、子宮内膜症にともなう痛みなど症状があれば、症状を落ち着かせるための「対症療法」をおこないます。
たとえば、月経痛や下腹部痛など「痛み」があれば「痛み止め」や「漢方」などで対応します。
ホルモン治療
とくに「チョコレートのう腫」では、ベースにある子宮内膜症を「ホルモン治療」によって改善する効果が期待できます。
たとえば、「低用量ピル」や「黄体ホルモン」、「GnRHアゴニスト」による「偽閉経療法」などがあります。
手術
卵巣腫瘍の種類や、症状の程度、病変の部位、年齢、今後の子供の希望など総合的に判断して術式が決まります。
明らかに良性腫瘍である場合には、基本的には卵巣腫瘍の病変のみを摘出する「卵巣腫瘍核出術」がおこなわれます。ただし、卵巣自体は残るため、再発する可能性があります。
子供を希望しない場合や閉経後である場合などでは「付属器摘出術」(卵巣と卵管を摘出する手術)がおこなわれます。
悪性腫瘍(卵巣がん)の場合には、手術によって「子宮」と「両側の付属器」(卵巣と卵管)、「所属リンパ節」「大網」などを摘出したり、病変の広がりを判断したりします。
まとめ
今回は「卵巣腫瘍」について説明しました。
症状がなくても、卵巣が腫れている場合があります。
しかし、放っておくと、悪化するケース、痛みなどの症状が起こってくる場合もあります。
なお、卵巣腫瘍のほとんどが良性腫瘍ですが、まれに悪性腫瘍(がん)の可能性があります。
医師と話し合って、追加検査が必要か、定期的なフォローアップなど今後の方針について相談するようにしましょう。
この記事によって「卵巣腫瘍」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことができることを願っています。

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