結論ですが
生理前の症状がひどくて困っている場合は産婦人科を受診して相談しましょう。
この記事は「生理前の症状がひどくて困っている」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「生理前の症状がひどいときにどうするのか」がわかります。
毎回、生理のまえにイライラしやすくなったり、情緒不安定になったりして、困ってしまうことありませんか?
生理前に、症状がひどくて、生理がくるとおちつくことを「月経前症候群」(PMS)といいます。
他にも、おなかの痛み、頭の痛み、むくみなどの症状をきたします。
今回、生理前のつらい症状をきたす「月経前症候群」について、どのような治療や検査がおこなわれるのか説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 「月経前症候群」(PMS)には、身体症状と精神症状があります。精神症状がメインの「月経前不快気分障害」(PMDD)の場合は、精神科と協力して診療することが多いです。
- 月経前症候群の症状に対する治療は、「痛み止め」「利尿薬」、「精神安定剤」「抗うつ薬」「抗不安薬」など向精神病薬、「漢方薬」などがつかわれます。
- 月経前症候群は排卵をおさえることで改善します。排卵をおさえるために「ピル」や「GnRHアゴニスト」というくすりがつかわれます。
- 月経前症候群は、「カウンセリング」「規則正しい生活習慣」(睡眠、運動、食事、栄養)となるよう生活指導などのくすり以外のアプローチも必要です。
月経前症候群の「症状」に対する治療
「月経前症候群」(PMS)は生理の前3~10日間の黄体期に症状をみとめ、生理がくると症状が改善して、なくなるものをいいます。
症状には、
「おなかの痛み」「頭の痛み」「乳房の痛み」「むくみ」など身体症状と、
「いらいら」「ゆううつな気分」「落ち着きない」など精神症状
があります。
とくに精神症状がメインのものを「月経前不快気分障害」(PMDD)とよばれます。
身体症状への治療
治療は対症療法といって各症状をおさえるくすりを使用します。
「おなかの痛み」「頭の痛み」「乳房の痛み」などの「痛み」に対しては、抗炎症作用のあるNSADsよよばれる種類の痛み止め「鎮痛剤」などが使用されます。
「むくみ」には、からだの水分をおしっこに出してやる「利尿薬」が使われます。
精神症状への治療
「いらいら」「ゆううつな気分」「落ち着きない」「不安」など精神症状に対しては、精神安定剤、抗うつ薬、抗不安薬などの向精神病薬がつかわれます。
とくに、精神症状がメインの「月経前不快気分障害」(PMDD)や、重度な精神症状がある場合には、心療内科や精神科の医師と協力して診療することがおおいです。
漢方薬による治療
女性の3大漢方とよばれる「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」があります。
「証」をみてこれらを使い分けるとともに、実際に効果があるかどうかによって調整していきます。
ほかにも、気分をおちつかせる効果のある「抑肝散(よくかんさん)」や「女神散(にょしんさん)」などがつかわれます。
月経前症候群は排卵をおさえることで改善する
月経前症候群の原因には、さまざまな説がありますが、正確な原因は不明です。
ただし、「黄体ホルモン」が関与していることがわかっており、排卵をおさえることで月経前症候群の症状は改善することがしられています。
排卵をおさえる方法として、「ピル」や「GnRHアゴニスト」というくすりがつかわれます。
「卵胞発育」→「排卵」→「黄体」というながれがあります。
つまり、月経開始とともに、卵巣の中の「卵胞」は発育していきます。
卵胞が十分発育すると「排卵」します。
排卵したあとは「卵胞」は「黄体」にかわり、「黄体ホルモン」が分泌されます。
「ピル」や「GnRHアゴニスト」をつかうことで「排卵」をおさえ、「黄体ホルモン」の分泌をおさえることで、月経前症候群が改善します。
ピル
「ピル」は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンをふくむくすりです。
もともと妊娠をしないためにのむくすり「経口避妊薬(OC)」として使われていました。
じつはピルをのんでいるひとは、生理痛をやわらいだり、生理の量がすくなくなるなどの生理の症状をやわらげる効果もあることがわかってきました。
それを利用して、生理に関係する症状をおさえるために使われることがあります。
ピルはのんでいる間は一時的に子供ができない状態になりますが、のむのをやめたらとくに問題なく妊娠することは可能です。
GnRHアゴニスト
「GnRHアゴニスト」は、視床下部ホルモン「GnRH」の誘導体であり、閉経とおなじホルモン環境にするくすりです。
すこし難しい話になりますが…
脳の視床下部というところから「GnRH」というホルモンが分泌されています。
「GnRHアゴニスト」を使用すると、脳下垂体のGnRH受容体がダウンレギュレーションをおこし、「GnRH」が効きにくくなります。
すると脳下垂体から分泌される「ゴナドトロピン」の分泌がおさえられて、卵巣からの「女性ホルモン」(エストロゲン)の分泌もおさえられます。
すると、閉経と同じようなホルモン状態となり、生理がとまりますし、排卵もおさえられる状態になります。
ただし、「GnRHアゴニスト」は長い期間つかうと、骨量が少なくなってしまったり、コレステロール異常のリスクがあがってきます。
将来の健康リスクがあがってくるので、長い期間つかえません。連続使用する場合は、最大でも6ヶ月くらいが目安になってきます。
月経前症候群はくすり以外のアプローチも必要
月経前症候群は、「カウンセリング」「規則正しい生活習慣」(睡眠、運動、食事、栄養)となるよう生活指導などのくすり以外のアプローチも必要です。
毎回、生理の前になると症状がおこることから、生理に対して不安やネガティブな感情を抱くようになります。
すると、その感情によって病状が悪化することがあります。
そうした場合、心理的な面に対するサポートのための「カウンセリング」なども必要です。
そして、月経前症候群の症状をやわらぐために「規則正しい生活習慣」が大切です。
とくに、
- 規則正しいリズムの生活
- 十分な睡眠時間を確保すること
- 適度な運動をすること
- 適度な量で栄養バランスのよい規則的な食事
などが大切です。
健康で過ごすためにも「規則正しい生活習慣」がとても大切です。
まとめ
「月経前症候群」(PMS)には、身体症状と精神症状があります。精神症状がメインの「月経前不快気分障害」(PMDD)の場合は、精神科と協力して診療することが多いです。
月経前症候群の症状に対する治療は、「痛み止め」「利尿薬」、「精神安定剤」「抗うつ薬」「抗不安薬」など向精神病薬、「漢方薬」などがつかわれます。
月経前症候群は排卵をおさえることで改善します。
排卵をおさえるために「ピル」や「GnRHアゴニスト」というくすりがつかわれます。
月経前症候群は、「カウンセリング」「規則正しい生活習慣」(睡眠、運動、食事、栄養)となるよう生活指導などのくすり以外のアプローチも必要です。
生理前の症状がひどくて困っている場合、無理せずに産婦人科を受診しましょう。
産婦人科はこまっている人の味方です。
勇気をもって受診して、うまく産婦人科を活用してましょう。
「月経前症候群」に悩まされず、充実した毎日がおくれることを願っています。
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