結論ですが
重症患者の見分け方として「症状」「状態」「状況」などの情報が重要となります。
この記事は「患者さんの重症度を評価する医療従事者」に向けて書いています。
日々の医療業務に対する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「重症患者の見分け方」についてわかります。
この患者さんは重症ですか?
このような疑問にお答えします。
毎日のクリニックでの業務をおこなっていると、電話で患者さんをみてくれないかという依頼が来ることがあります。
当院はレディースクリニックなので、もちろん重症患者をみることはできません。
しかし、電話での問い合わせで、重症患者がまぎれて来てしまうことがあります。
当院を受診してから、搬送先を探すことになる場合、患者さんが最適な医療が提供されるのに時間がかかってしまいます。
最悪なケースでは、その時間的遅れのせいで、手遅れになってしまう場合もあります。
では、重症患者を見分けるにはどのようにすればいいのだろう?
今回は「重症患者の見分け方」について説明します。
「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/
まとめ
重症患者の見分け方1:症状
胸痛
胸痛の症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
胸部には、「心臓」「肺」「大血管」など生命の維持に必要な重要な臓器があります。
とくに「心筋梗塞」「緊張性気胸」「動脈解離」など致死的な病気が隠れている場合があります。
突然の腹痛
突然の腹痛の症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
腹部には、消化器・泌尿器・生殖器・血管などさまざまな臓器があります。
突然の腹痛には、腹部動脈瘤の破裂、卵巣のう胞の破裂・捻転(ねじれること)、虫垂の破裂憩室の破裂などの病気が考えられます。
また、腰痛を来すことが多いですが、尿管結石、腎梗塞などの病気も考えられます。
激しい頭痛
激しい頭痛の症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
とくに、くも膜下出血、椎骨動脈解離、脳梗塞など危険な病気が考えられます。
けいれん
けいれんの症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
脳の病気の「てんかん」の症状として、けいれんが現れます。
また、脳血管障害や頭部外傷など重篤な病気が発生したときに、けいれんが起こる場合があります。
マヒ
マヒの症状の場合、重症患者である可能性が高いです。
とくに、片方の腕や足だけ動かしにくい、顔の半分だけ動かしにくい、呂律がまわりにくいなどの症状があると、脳梗塞や脳出血など脳血管障害の疑いがあります。
重症患者の見分け方2:状態
動けない
動けない状態の場合、重症患者である可能性が高いです。
原因はどうであれ、動けない場合には、自宅に帰すことができないため、入院が必要となります。
また、重大な病気が隠れている場合が多いです。
食べることができない
食べることができない場合、重症患者である可能性が高いです。
原因はどうであれ、食べることができない場合には、点滴などによって水分や最低限の栄養を補う必要が出てきます。
そうなると、自宅に帰すことができないため、入院が必要となります。
バイタルサインの異常
バイタルサインの異常がある場合、重症患者である可能性が高いです。
とくに、呼吸状態が悪かったり、血圧や脈拍数など循環動態の異常がある場合には、重大な病気が隠れている場合が多いです。
また、意識状態が悪い場合、低体温・高体温などの体温異常などの場合も注意が必要です。
重症患者の見分け方3:状況
高エネルギー外傷
高エネルギー外傷の場合、重症患者である可能性が高いです。
自動車との交通事故や、高いところから落下したなど、体に大きなダメージを受けた場合を高エネルギー外傷と言います。
多発骨折、内臓損傷、外傷性気胸など致死的な病気となっている可能性が高いです。
溺水
溺水の場合、重症患者である可能性が高いです。
海やプールなど水におぼれる状態のことを溺水といいます。
多量の水を飲んで、呼吸できない状態となり、致死的となる場合もあります。
広範囲のやけど
広範囲のやけどの場合、重症患者である可能性が高いです。
火災などによって体の広範囲にやけどを負うと、致死的となる場合もあります。
出血多量
出血多量の場合、重症患者である可能性が高いです。
とくに、鋭利なものによって、血管が傷ついてしまうと、出血が多量になってしまい、致死的となる場合もあります。
また、高エネルギー外傷などで、体の内部で出血している場合もあるため注意が必要です。
まとめ
今回は「重症患者の見分け方」について説明しました。
なかなか電話だけの情報だけでは、重症かどうか判断がつきにくい場合もあります。
患者さんが重症にも関わらず、必死な思いで何とか受診してくるケースがあったりします。当院は救急対応できないため、すぐにしかるべき医療機関に紹介させて頂きます。
また、一見軽症だけれど、検査をするととんでもない重大な病気が見つかるケースもあります。
なかなか一筋縄ではいかないことが多いです。
この記事によって、「重症患者の見分け方」について理解が深まり、一人でも多くの人に役に立つことを願っています。
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