結論ですが
子宮頸がんの病変の広がり具合によって治療方針が決まります。
この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「子宮頸がん」についてわかります。
病院を受診して「子宮頸がん」と診断された時、いろいろと説明されてよくわからないことが多いかと思います。
とくに「がん」という言葉を聞いて、ショックを受けて頭に入ってこない人は多いです。
「がん」イコール「死んでしまうもの」というイメージをする人がいますが、実は「がん」といっても進行期などによって全然ちがいます。
進行期によっては根治が可能なものから、残念ながら治療ができないものまでさまざまあります。
以前は「がんは不治の病」としてとらえられていましたが、最近では新しい治療薬も出てきてがんと十分に闘うことができています。
今回は「子宮頸がんの治療」について説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 子宮頸がんは、病変の広がり具合である「進行期」によって治療方針が決まります。
- 子宮頸がんは、「細胞診」「コルポスコピー・組織診」「診断的円錐切除術」「内診・直腸診」「画像検査」「膀胱鏡」「大腸カメラ」などの検査がおこなわれます。
- 子宮頸がんは、「手術」「放射線治療」「CCRT」(同時化学放射線治療)などの治療がおこなわれます。
子宮頸がんの病変の広がり具合を診断します。
子宮頸がんと診断された場合、病変の広がり具合を診断します。子宮頸がんは「子宮頸部」から発生して、病変の進行とともにまわりに広がっていきます。
病変の広がり具合を「進行期」とよばれ、「Ⅰ期からⅣ期」まであります。子宮頸がんの進行期に応じて治療方針が決まります。
子宮頸がんはどんな検査をおこないますか?
細胞診
子宮の入り口の部分を擦って細胞を採取します。そして細胞を顕微鏡で拡大して「がん細胞」が存在するか確認します。
コルポスコピー・組織診
子宮の入り口の部分を「コルポスコピー」という拡大鏡を使って病変が疑わしい部分がないか確認します。そして、病変が疑わしい部分の組織の一部を採取します。その組織を顕微鏡で拡大して「がん組織」が存在するか、「組織のタイプ」は何なのか確認します。
診断的円錐切除術
子宮の入り口を円錐のかたちに切除する手術です。コルポスコピー・組織診では診断できない場合には、診断的に円錐切除術がおこなわれます。また、「円錐切除術」でしか診断できない子宮頸がんの進行期があります。
内診・直腸診
腟口から指を挿入して「内診」を行います。「膀胱」や「直腸」「腟壁」など子宮のまわりに病変が進行していないか確認します。また、肛門から指を挿入して「直腸診」を行います。子宮の後ろ側の直腸などに病変が進行していないかも確認します。
画像検査
エコーやMRI・CTなどの画像検査を行います。
エコーはその場ですぐにでき、子宮頸がんの病変の「大きさ」などを確認します。
MRIでは、子宮頸がんの病変の大きさに加えて、「膀胱」や「直腸」などの子宮のまわりの臓器に病変が進行していないか、骨盤内の「リンパ節」に病変が進行していないか等を確認します。
CTでは、「肺」や「肝臓」などの臓器に遠隔転移がないか、骨盤内や大動脈まわりの「リンパ節」に病変が進行していないか等も確認します。
膀胱鏡
尿道口から細長いカメラをいれて、膀胱の中を観察します。膀胱粘膜に病変がないか確認をします。
大腸カメラ
肛門から細長いカメラをいれて、直腸などの下部消化管の中を観察します。直腸粘膜などに病変がないか確認をします。
進行期などに応じて治療方針が決まります
子宮頸がんは、病変の広がり(進行期)によって治療法は決まります。また、「妊娠の希望」「健康状態」「病変の大きさ」「組織のタイプ」などによって、具体的な治療方針を決めていくことになります。
Ⅰ・Ⅱ期
子宮頸がんの病変が局所にとどまっている状態であり、基本的には手術による治療がおこなわれます。子宮頸がんの場合、基本的には「子宮全摘出術」以上の手術が必要になります。
進行期によって子宮のまわりの摘出する範囲も変わり、「単純子宮全摘出術」「準広汎子宮全摘出術」「広汎子宮全摘出術」などがあります。また、子宮摘出と一緒に所属リンパ節である「骨盤リンパ節」「傍大動脈リンパ節」の郭清術も行われることがあります。
あわせて「卵巣」も切除することが多いですが、条件によっては残すことも出来る場合があります。
また、病変の大きさや広がり具合によっては、化学療法をおこなって病変を小さくしてから手術を行ったり、手術ではなく「放射線治療」「CCRT」(同時化学放射線治療)などの治療方針になることもあります。
Ⅲ期
子宮頸がんの病変が腟壁の下1/3または骨盤壁に達しているものです。
病変を摘出することは困難であり、手術ではない方法で治療がおこなわれます。放射線治療の効果を高めるために化学療法を併用する「CCRT」(同時化学放射線治療)による治療が主に行われます。
Ⅳ期
子宮頸がんの病変が「膀胱」や「直腸」の粘膜に達しているもの、または小骨盤腔を越えて広がっているものです。
病変がかなり広がっている状態であり、病変を摘出することは困難です。
病変に放射線を照射する「放射線治療」や、抗がん剤を使った「化学療法」、「CCRT」(同時化学放射線治療)などが行われます。
全身状態が悪い場合には、治療をおこなわずにそのまま経過をみていくことになることもあります。
妊娠を希望する場合
子宮を摘出すると妊娠することはできなくなるため、妊娠希望がある初期の子宮頸がんでは妊娠できる可能性を残す治療法「妊孕性(にんようせい)温存手術」をおこなう場合があります。
「広汎子宮頸部摘出術」(トラケレクトミー)という子宮を温存する手術が行われたり、「円錐切除術」だけ行っておいて妊娠・出産が終了したら「子宮全摘出術」に移行するということもあります。
手術後の追加治療
進行期が「Ⅰ期」や「Ⅱ期」で手術をおこなった場合、手術で摘出してきた臓器を病理検査します。これは、顕微鏡も用いて観察して、「組織のタイプ」や「病変の広がり」がどの程度なのか、「リンパ管」「血管」などへの病変の広がりはあるのかなどを確認します。そこで最終的な診断をおこないます。
手術後の再発の可能性が高い場合には、放射線を照射する「放射線治療」や「CCRT」(同時化学放射線治療)などの追加治療が行われます。
治療後の定期フォロー
子宮頸がんの治療が終了した後は、病変が再発してこないか定期的にフォローしていきます。
「内診」や「腫瘍マーカー」「細胞診」、CT・MRI・PET/CTなどの「画像検査」などが行われます。
病変の再発を早期にみつけるために、定期的に受診して頂いて診察をおこないます。
とくに治療後時間が経っていない時期に再発する確率が高いため、頻繁に受診することになります。
まとめ
子宮頸がんは、病変の広がり具合である「進行期」によって治療方針が決まります。
子宮頸がんは、「細胞診」「コルポスコピー・組織診」「診断的円錐切除術」「内診・直腸診」「画像検査」「膀胱鏡」「大腸カメラ」などの検査がおこなわれます。
子宮頸がんは、「手術」「放射線治療」「CCRT」(同時化学放射線治療)などの治療がおこなわれます。
子宮頸がんと診断されて、医師のいわれるがままに検査をおこなって、治療がおこなわれて、自分の病状がいまいちよくわからない状態の人が多いです。
自分の病気は自分で理解した上で、治療方針などを決めていくことが大切です。
以前であれば、医師がすべて治療方針など決めていくことが多かったですが、最近では患者さん自分自身で治療方針を選ぶ時代です。
どんな治療法も良い面と悪い面があります。それらをしっかりと理解して、自分自身が納得してから治療をうけるようにしましょう。
担当医に自分の治療の希望を伝えて、わからない部分は質問するようにしましょう。
この記事によって「子宮頸がん」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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