産後の肥立ちとは? ~坐月子からみる産後の風習~

結論ですが

産後の風習はさまざまありますが、産後の心と体をいたわることが大切です。

この記事は「産後の女性」に向けて書いています。
産後のさまざまな疑問・不安・悩みなどが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「産後の風習」についてわかります。

「妊娠」をして、「出産」という大イベントを乗り越えて、やっと可愛いわが子とご対面できたと思っていたら、次に「子育て」という長い戦いが待っています。

お産をして、まだ回復していない体にムチ打って、夜中の授乳・おむつ交換・夜泣きのあやしなど大変です。
この産後の時期は、身体的にも精神的にも大変になって、産後は体調不良がおこりやすいです。

そこで東アジアにおいて「産後の肥立ち」という生活上のさまざまな制限や決まり事など伝統的な風習があります。とくに中華圏において「坐月子」(ズオユエズ)と呼ばれています。

今回、「産後の風習」について個人的な考察も含めて説明していきます。

この記事のまとめ

  • 産後の風習はさまざまありますが、産後の心と体をいたわることが大切です。
  • 中華圏において「坐月子」(ズオユエズ)と呼ばれる産後のしきたりがあります。
  • 産後のしきたりには、根拠があるものもあれば、現代では根拠がないものもあります。

産後の肥立ちとは?

「産後の肥立ち」とは「産後に体力をつけて肥え太る」という意味です。出産後の一定の期間を定めて、体調を整えるために行われます。
その期間は、およそ1ヶ月以上におよぶため、中華圏において「坐月子」(ズオユエズ)と呼ばれています。この期間は、産後の女性はさまざまな生活上「やってはいけないこと」が決められています。地域や民族によって、期間や風習はさまざまです。

坐月子からみる産後の風習

入浴および洗髪をしない

以前は衛生環境は整っておらず、上下水道によって感染するおそれがありました。とくに産後の女性は体の変化から、子宮内膜炎・尿路感染・乳腺炎などの感染症になりやすい状態です。しかも産後体力が低下しており重症化しやすいため、とくに感染には注意が必要です。
現在では、上下水道は整備されており、清潔に保たれているため、この風習は科学的根拠に乏しいとされています。

階段を登らない

産後の女性は体力が低下しています。
とくに出産のときに出血が多量だった場合、貧血となっていることがあります。すると、階段を登るときに、ふらつき・立ちくらみが起こり倒れてケガをする可能性があります。産後にからだを動かすのは無理をしないようにしましょう。

性行為の禁止

出産後はしばらく生理は来ないです。授乳をしている場合は、さらに長い間、生理は止まります。産後の生理が来ない時期でも、実は「排卵」は起こっており、この期間に性行為をおこなうと妊娠する可能性があります。
妊娠を望まない場合は、性行為を控えるのもいいですが、性行為をする場合はかならず避妊をするようにしましょう。

泣かない

産後は情緒が不安定になりやすいです。出産という一大イベントを乗り越えたということ、産後の環境の変化からさまざまな身体的精神的不調を来しやすいです。
産後、マタニティーブルーズとよばれる軽いうつ症状が多くの人でみられます。
そのときに感情をコントロールできなくなり泣いてしまうこともあります。
泣いてしまっても構わないと思いますが、精神的な不調が続くようであれば、担当医に相談するようにしましょう。マタニティーブルーズは自然に改善しますが、産後うつ病に移行する可能性があります。最悪、こどもの虐待や自殺・心中などにつながるおそれがあり注意が必要です。

まとめ

産後の風習はさまざまありますが、産後の心と体をいたわることが大切です。

中華圏において「坐月子」(ズオユエズ)と呼ばれる産後のしきたりがあります。

産後のしきたりには、根拠があるものもあれば、現代では根拠がないものもあります。

中華圏において「坐月子」と呼ばれる産後のしきたりから由来し、現在では「月子中心」とよばれる「産後ケアセンター」で出産後過ごすことが多いようです。

施設の利用料金はピンキリですが、産後の体をリラックスさせて回復させたり、産後に必要な栄養たっぷりの食事が提供されたり、赤ちゃんを預かってもらってしっかりと睡眠をとったりして過ごしたりします。

日本においても「産後ケア」は最近注目を浴びています。
というのも、産後の母親の自殺は年間60-80人程度といわれており、諸外国と比べても多い数字になっています。産後のメンタル含め産後ケアは緊急の課題です。

核家族化がすすみ、また仕事が忙しい近年、家族の中で十分な子育てができないような構造上の問題があります。また、社会的にも子育てをサポートする体制が十分でないです。日本においても産後ケアに対して充実したサポートが求められています。

「お産をして子供が増えること」はとてもおめでたいことで最高の幸せです。
安全・安心に妊娠・出産・子育てができるような社会の仕組みづくりを一人ひとり考えていければと思います。

この記事によって「産後の風習」について理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。