流産をくりかえしてしまいます【不育症】

妊活

結論ですが

流産をくりかえしてしまう場合には「不育症」を考えます。

この記事は「妊娠したいと考えている女性」に向けて書いています。
この記事を読むことで「不育症」についてわかります。

妊娠して幸せモードの中、赤ちゃんが残念ながら流れてしまうことがあります。
精神的ショックも大きいかと思います。

流産を何回も繰り返してしまう人も中にはいます。
「もう流産をしたくない」という気持ちはとてもわかります。

流産をくりかえす場合「不育症」が考えられます。
今回、「不育症」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • じつは流産する確率は意外と高いです。
  • 流産をくりかえす場合には不育症をかんがえます。
  • 不育症の原因はわかるものもあるが、原因不明の場合も多いです。
  • 不育症の治療は出来ることもあるが、原因がわかっても治療できないものもあります。

流産の確率は意外と高い

じつは自然流産する確率は高いです。自然流産率は「約15%」と言われています。
単純計算で、6-7回妊娠すると1回は流産を経験することになります。
さらに妊娠する年齢が高くなると流産率も高くなり、40歳で妊娠した場合に流産する確率は「約40%」です。晩婚化の時代、自然流産率もあがってきております。

流産となる確率は意外と高いため、みなさんが思ってるより流産に遭遇することは多いです。

産婦人科医師は、日々の診療で妊娠する人を何人もみているので、流産に出くわすことは多いです。
しかし患者側からみると、
「なんで私が流産になるの?」
「あの時にしたことがいけなかったのではないか…」
とあれこれ考えたり、後悔したり、時には自分を責めたり…
とてもショックな出来事になってしまいます。
場合によっては、周囲の人から言われのないことや、ひどいことを言われることもあります。

僕ら産婦人科医は、流産率が意外と高いことを知っています。
「流産はある一定確率で経験してしまうこと」を、本人やパートナーに説明します。
流産を経験した場合は、とくにパートナーの役割は重要だと思います。
本人の精神的なフォローや周りからの言葉の攻撃に対して守ってやることが大事です。

不育症とは

流産を繰り返す場合には「不育症」を考えます。
不育症とは『妊娠はするが「流産」や「死産」を繰り返して生児が得られないこと』を指します。
ちなみに流産率を「15%」として計算すると…
流産を2回繰り返す確率は理論上は「0.15×0.15=2.25%」で、実際の頻度は「約4.2%」です。
流産を3回繰り返す確率は理論上は「0.15×0.15×0.15=0.34%」で、実際の頻度は「約0.9%」です。
理論上の確率と実際の確率には「ズレ」があるため、何かしらの原因が隠されていることが考えられます。
また、3回流産を繰り返す確率はとても低いため、「偶然の確率で流産が重なった」というより「何かしらの流産の原因がある」のではないかと判断します。

ちなみに流産を2回繰り返すことを「反復流産」、流産を3回以上連続して繰り返すことを「習慣流産」といいます。
また、不育症において流産の回数の明確な規定はないですが、実際には2回以上流産を繰り返す場合は「不育症」として何かしらの介入を行うことが多いです。

不育症の原因

不育症の原因は以下の通りです。

不育症の検査をおこなっても、残念ながら原因がわからない場合が多いです。
50%以上は不育症の原因は不明となります。

不育症の治療

原因がわかったとしても残念ながら根本的な治療がないこともあります。
また、治療効果も限定されている場合が多いです。

染色体異常

染色体とは生物のからだをつくる「設計図」によく例えられます。
その「設計図」に間違いがあると正常なヒトのからだをつくることができません。
夫婦いずれかの「設計図」に異常があったり、胎児の「設計図」に異常があると、流産となってしまうことがあります。
途中で赤ちゃんの発育が止まってしまい、流産というかたちで自然淘汰されてしまいます。根本的な治療法はありません。

血液凝固異常

血液のかたまりやすさの異常のことです。
「抗リン脂質抗体症候群」「偶発抗リン脂質抗体」などの疾患で血液がかたまりやすくなる状態になると、血栓という血液のかたまりが形成されます。すると、胎盤を通じた赤ちゃんへの血流が不十分となってしまい、流産につながります。
「低用量アスピリン」や「ヘパリン」などの血液をサラサラにする薬で治療をおこないます。

内分泌異常 

「甲状腺機能異常症」や「糖尿病」などの内分泌異常が流産につながる可能性があるため、しっかりと疾患を治療してコントロールすることが重要です。
とくに糖尿病の場合、インスリン抵抗性が高いと「多嚢胞性卵巣症候群」など合併することもあります。「多嚢胞性卵巣症候群」は排卵障害を引き起こし、不妊の原因にもなります。
「黄体機能不全」の場合、黄体ホルモン分泌が不十分になります。
妊娠して黄体ホルモンが分泌されると子宮内膜は「ふかふかのベッド」のように厚くなり、赤ちゃんを育ちやすい子宮内環境になります。
「黄体機能不全」により黄体ホルモンの分泌が低下すると、子宮内膜を良い状態で保つことが出来なくなり「不妊」や「流産」の原因となってしまいます。
「黄体機能不全」の場合、黄体ホルモンの薬(飲み薬や注射などあり)で治療をおこないます。

子宮形態異常

子宮筋腫や先天的な疾患など「子宮形態異常」(子宮の形の異常)があると流産につながります。
受精卵が子宮内に着床して妊娠が成立します。その着床する部分である子宮の形に異常があると、受精卵がうまく着床できなかったり、着床しても流産につながってしまうことがあります。
治療は、子宮筋腫を摘出する手術や子宮のかたちを整える手術などを行います。

原因不明

原因が特定できない不育症に対する確立された治療法はないです。
「低用量アスピリン」や「ヘパリン」などの血液をサラサラにする薬を使って予防的治療をおこなう場合があります。

まとめ

自然流産する確率は意外と高いです。流産を2回以上くりかえす場合は「不育症」として介入する場合が多いです。

不育症の原因はわかるものもあるが、原因不明の場合も多いです。
原因として、「染色体異常」「血液凝固異常」「内分泌異常」「子宮形態異常」などがあります。

不育症の治療は出来ることもあるが、原因がわかっても治療できないものもあります。

流産を経験すると、かなりの精神的ショックを受けます。
意外と流産の確率は高いため、残念ながら流産を経験する確率は高いです。

しっかりと精神的なショックをサポートするとともに、残念ながら流産を繰り返してしまう場合には「不育症」として適切に介入していくことが大切だと感じます。

流産は非常につらいことですが、前を向いていけるように医療者としてサポートできるようにありたいと思います。