医療器材と「洗浄・消毒・滅菌」について

結論ですが

医療器材の種類によって、求められる「洗浄・消毒・滅菌」のレベルが違います。

この記事は「医療器材をどのように洗浄・消毒・滅菌おこなっているか」疑問に思うヒトに向けて書いています。
医療行為に関する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「医療器材の洗浄・消毒・滅菌」についてわかります。

医療器材を使用した時に、機器を「洗浄」または「消毒」または「滅菌」をする必要があります。
とくに、医療機器を介した感染を予防するために重要な概念となります。

医療器材の種類によって、求められる「洗浄・消毒・滅菌」のレベルが違います。
今回、「医療器材と洗浄・消毒・滅菌」について説明したいと思います。

この記事のまとめ

1.医療器材の再生処理と感染対策

医療器具を繰り返し使う場合に、感染対策のため、「洗浄」「消毒」「滅菌」という再生処理が必要です。

確実に再生処理を実施することで、患者さんや医療従事者の安全を守ることにつながります。
医療器材の種類や使用目的などによって、求められる「洗浄」「消毒」「滅菌」などのレベルが異なります。

2.医療器材のカテゴリー分類

医療器材の使用目的によって、「洗浄」「消毒」「滅菌」の処理が決められます。

その目安として「スポルティング分類」というものがあり、「クリティカル」「セミクリティカル」「ノンクリティカル」に分けられます。

クリティカル

「クリティカル」に分類される器材は、通常無菌の組織や血管に挿入されるものが当てはまります。

たとえば、「手術器具」や「注射器」「血液を介する器具」「インプラント」などが挙げられます。
クリティカルの医療器材に対しては「滅菌」の再生処理が必要になります。

セミクリティカル

「セミクリティカル」に分類される器材は、損傷のない粘膜および創のある皮膚に接触するものが当てはまります。

たとえば、「人工呼吸器」「麻酔器回路」「軟性内視鏡」「膀胱鏡」などが挙げられ、「高水準消毒」の再生処理が必要になります。
また、「咽頭鏡ブレード」「バイトブロック」「ネブライザー」「哺乳瓶」「乳首」なども挙げられ、「中水準消毒」の再生処理が必要になります。

ノンクリティカル

「ノンクリティカル」に分類される器材は、損傷のない皮膚と接触するものが当てはまります。

たとえば、「血圧計」「酸素マスク」「膿盆」「ガーグルベイスン」「吸引瓶」「薬杯」「便器」「尿器」などが挙げられます。
ノンクリティカルの医療器材に対しては「洗浄」や「低水準消毒」などの再生処理が必要になります。

3.洗浄・消毒・滅菌とは

洗浄

洗浄とは、対象物からあらゆる異物(汚物・有機物など)を物理的に除去することです。つまり、対象物の表面から汚れを除去することです。

洗浄の方法には、「用手洗浄」「浸漬洗浄」「超音波洗浄」「ウォッシャーディスインフェクター」などがあります。

消毒

消毒とは、対象物から細菌芽胞をのぞく、病原性をもつ微生物を除去あるいは死滅させる方法のことです。

消毒剤の使用方法によって、「浸漬法」「清拭法」「散布法」「還流法」などの方法があります。
また、消毒剤には「高水準消毒剤」「中水準消毒剤」「低水準消毒剤」などの種類があります。それぞれ、対象となる微生物、消毒の対象物によって使い分けられます。

滅菌

滅菌とは、有害・無害に関わらず、対象物に存在しているすべての微生物およびウイルスを完全に死滅あるいは除去することです。

滅菌の方法には「高圧蒸気滅菌法」「EOG滅菌法」などの方法があります。

まとめ

今回は「医療器材と洗浄・消毒・滅菌」について説明しました。

婦人科においては、普段の診療の中で「腟鏡」や「セッシ」「マルチン」といった医療器材を使います。

他の患者さんへの感染を広げないために、器材を使用した後には、適切に「洗浄・消毒・滅菌」を行う必要があるのです。

医療のプロとして、医療器材の種類に応じた適切な「洗浄・消毒・滅菌」をおこない、安全・安心な医療を提供できれば幸いです。

この記事によって「医療器材と洗浄・消毒・滅菌」についての理解が深まった上で、より安全・安心に日々の診療行為を受けられれば幸いです。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
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