結論ですが
ピルをつかうとき注意が必要なひとがいますので、ピルを使いはじめる場合には安全につかえるかどうか確認する必要があります。
この記事は「ピルを飲みはじめたいと考えている」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「ピルをつかうとき注意が必要な場合」についてわかります。
「避妊」や「生理による症状をやわらげる」ためにピルを使いたいひとがいるかと思います。
ピルを使いはじめる場合、自分がピルを安全につかえるかどうか確認する必要があります。ピルを処方される前に必ず問診票を書いたり、いろいろと質問されるとおもいます。
ピルによる副作用がおこりやすい、またその副作用が重篤なものになる可能性がある場合には、ピルはつかえない場合や、ピルをつかえるが注意が必要な場合があります。
ピルを安全に使用するためのガイドラインである「OC・LEPガイドライン2015年版」に準じて説明していきたとおもいます。
今回、ピルを使うことはできるが注意が必要な「ピルの慎重投与」について説明していきたいとおもいます。
この記事のまとめ
- 「年齢」「喫煙」「肥満」「血縁者に疾患があるひと」「かかっている疾患」「かかったことのある疾患」によって、ピルを使うことはできるが注意が必要なときがあります。
年齢
年齢が上がると、心筋梗塞などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。とくに40歳以上の場合、ピルをつかうと助長する可能性がありピルの慎重投与が必要です。なお、50歳以上の場合はピルをつかうことができなくなります。
喫煙
喫煙によって、心筋梗塞などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。喫煙をしている人がピルを使用すると、助長する可能性がありピルの慎重投与が必要です。
なお、年齢が「35歳以上」で「1日15本以上」の喫煙をしている場合はリスクが非常に高くなるため、ピルを使用することはできません。
肥満
肥満である場合、血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。
とくにBMI30以上の場合、ピルをつかうと助長する可能性がありピルの慎重投与が必要です。
血縁者に疾患があるひと
乳がん
ピルに含まれる女性ホルモンによって乳がん発生する可能性があります。
血縁者に乳がんがいるひとは、定期的に乳がん検診をおこなうなどしながら慎重にピルを投与することが必要です。
血栓症
血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなる可能性があります。
血縁者に血栓症がいるひとは、ピルの慎重投与が必要です。
「かかっている」もしくは「かかったことのある」疾患
片頭痛
ピルをつかうと脳血管障害リスクが高くなるため、「前兆をともなわない片頭痛」の場合はピルの慎重投与が必要です。
「前兆をともなう片頭痛」の場合は、ピルをつかえません。
乳がん
ピルに含まれる女性ホルモンによって乳がんの悪化や再発をうながす可能性があります。乳がんにかかったことがあり5年以上再発のない人は、ピルの慎重投与が必要です。
なお、現在乳がんにかかっているひとは、ピルをつかえません。
乳房にしこりがあるひと
ピルに含まれる女性ホルモンによって乳がんであった場合は悪化する可能性があります。
定期的に乳がん検診を行いながら慎重にピルを投与することが必要です。
表在性血栓性静脈炎
ピルをつかうと症状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
合併症のない心臓弁膜症
ピルを使用すると、血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。
合併症のない心臓弁膜症では、ピルの慎重投与が必要です。
なお、「肺高血圧症」または「心房細動」を合併する場合、「亜急性細菌性心内膜炎」にかかったことのある心臓弁膜症のひとは、ピルを使用できません。
軽度の高血圧
ピルを使用すると、血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。
とくに「上の血圧(収縮期血圧)が140-159mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が90-99mmHg」の軽度の高血圧では、ピルの慎重投与が必要です。それ以上の重度の高血圧では、ピルを使うことができません。
軽度の糖尿病
ピルを使用すると、血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなります。
合併症を伴わない軽度の糖尿病の場合は、糖尿病が悪化する可能性があるため、十分血糖をコントロールしながら、ピルを使用する必要があります。
ポルフィリン症
ピルをつかうと症状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
肝障害、肝腫瘍、胆石症のある人
肝臓の代謝機能が低下しているため、これらの疾患を悪化させてしまう可能性があります。
また、ピルの使用によって症状が悪化することがあるため、ピルの慎重投与が必要です。
てんかん
ピルをつかうと症状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
テタニー
ピルをつかうと症状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
心臓疾患、腎臓疾患
心臓疾患、腎臓疾患にかかっている、または、これらにかかったことのあるひとは、ピルをつかうと体液の量がふえて心臓や腎臓に負荷がかかり症状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
脂質代謝異常症
ピルを使用すると、血栓症などの心臓や血管の疾患リスクが高くなる可能性があります。
また、ピルをつかうと病状が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
ピルを使用すると血栓症のリスクが高くなる可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
子宮頸部異形成、子宮頸がん
ピルを使用すると腫瘍が悪化する可能性があるため、ピルの慎重投与が必要です。
治療を要する子宮筋腫
ピルにふくまれる女性ホルモンによって子宮筋腫が悪化することがあり、ピルの慎重投与が必要です。
まとめ
「年齢」「喫煙」「肥満」「血縁者に疾患があるひと」「かかっている疾患」「かかったことのある疾患」によって、ピルを使うことはできるが注意が必要なときがあります。
ピルを使いはじめる場合、自分がピルを安全につかえるかどうか確認する必要があります。
問診票を書いたり、いろいろと質問うけるのは面倒だとおもいますが、しっかりと答えるようにしましょう。くすりはリスクといわれますが、しっかりとリスクをマネジメントすることが大切です。
事前に問診票などで確認することで、ピルを安全に使用することができます。
ふだんから自分の「かかっている疾患」や「かかったことのある疾患」を十分把握することが、ピルを使い始めるときだけなく自分の健康管理するうえで役に立ちます。
自分自身のからだについて理解をしておくことが、ピルにかぎらず医療介入をおこなう上で大切となります。
この記事によって自分自身のからだと向き合っていける手助けとなれば幸いです。
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