コレステロールの摂取量について【脂質代謝】

結論ですが

コレステロールの摂取量は、2015年に上限が撤廃されて特に規定されていませんが、脂質異常症の重症化予防を目的として、1日あたり200mg未満に抑えることが望ましいとされています。

この記事は「食と健康に関心のある方」に向けて書いています。
自身の健康への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「コレステロールの摂取量」についてわかります。

コレステロールは、どのくらいの量を摂取すればいいですか?

このような疑問にお答えします。

悪者とされるコレステロール
コレステロールの摂り過ぎは良くないとされてきました。
しかし、最近ではコレステロールの摂取量の上限が撤廃されており、結局どのくらい摂取すればいいのか分からないと思っている方も多いかと思います。

では、コレステロールの摂取量はどのくらいですか?

今回は「コレステロールの摂取量」について説明していきます。

この記事のまとめ

1.コレステロールとは

コレステロールは、細胞膜の材料となる、身体の働きを微調整するホルモンの材料になる、胆汁酸を形成するなどの働きのある物質です。 

コレステロールは「健康にとって悪いもの」と思われがちですが、人間の体になくてはならない重要な役割を担っています。 

たとえば、

コレステロールは体をつくっている細胞膜の材料となります。
ヒトの体は約37兆個もの細胞でできています。
その細胞は細胞膜によって外部の環境から守られています。 細胞膜はリン脂質、たんぱく質、コレステロールからできており、コレステロールは細胞膜の材料となっているのです。

また、コレステロールは、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどのホルモンの材料となります。ちなみに、体内で「ビタミンD」を作るときにもコレステロールは必要です。

さらに、肝臓に運ばれたコレステロールの一部は、胆汁酸となって小腸に排泄され、脂肪の消化・吸収を手助けします。

コレステロールは、細胞膜の材料となる、身体の働きを微調整するホルモンの材料になる、胆汁酸を形成するなどの働きのある物質です。

2.コレステロールの種類

コレステロールの種類として、主に「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」があります。

「LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール」は、肝臓に蓄積したコレステロールを全身に運ぶ働きをします。
通称「悪玉コレステロール」と言われており、増えすぎると血管壁にたまり、動脈硬化の原因となります。

一方「HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール」は、血管内に存在する余分なコレステロールを肝臓に運ぶ働きがあります。
通称「善玉コレステロール」とも呼ばれ、血管の壁に溜まっている余分なコレステロールを回収し、動脈硬化をおさえてくれるのです。

なお、コレステロールではないですが、血中脂質において「中性脂肪」があります。
よく健康診断などの血液検査で脂質代謝を評価するために測定されます。

「中性脂肪」は、血液中に存在する脂質の一種で、「1つのグリセロール」と「3つの脂肪酸」が結合した構造をしています。
中性脂肪が増え過ぎると、コレステロールのバランスは乱れて、動脈硬化などの原因となります。

コレステロールの種類として、主に「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」があります。

3.コレステロールの摂取量

コレステロールの摂取量は、上限が撤廃されて、とくに規定されていませんが、脂質異常症の重症化予防を目的として、1日あたり200mg未満に抑えることが望ましいとされています。

以前では、コレステロールの摂取量は、成人男性で750mg/日未満、成人女性で600mg/日未満が上限値でした。

しかし、さまざまな疫学的研究により、コレステロール摂取量と心血管疾患のリスクの間には明確な相関がないとされました。

また、食事制限による血中コレステロールの低下は個人差が大きいという理由で、コレステロールの摂取量の上限は、2015年に厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」から撤廃され、日本動脈硬化学会もコレステロールの摂取制限を撤廃することに賛同しました。

なお、食事から摂られるコレステロールは体内で合成されるコレステロールの「1/3~1/7」を占めるに過ぎず、摂取を減らしても体内での合成が増える仕組みになっております。
そのため、コレステロールの摂取量を減らしても血中コレステロール値が低下することにつながらないとされています。

食事による脂質摂取においては、「コレステロールの摂取量」という観点ではなく、脂肪酸の種類と量をバランスよく摂ることが重要だと考えられています。

ただし、脂質異常症の方では、コレステロール摂取によって、血中の悪玉コレステロール値が上がる方もいます。
そのため、脂質異常症の重症化予防を目的として、1日あたり200mg未満に抑えることが望ましいとされています。
脂質異常症で治療されている方は、担当医師と食事内容について相談するようにしましょう。

まとめ

今回は「コレステロールの摂取量」について説明しました。

この記事によって「コレステロールの摂取量」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。

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