結論ですが
ピルを最長で120日間連続して服用することが可能です。
この記事は「ピルを飲んでいる」女性に向けて書いています。
女性特有の問題に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事によって「ピルのフレックス飲み」について理解することができます。
ふだん、ピルを飲んでいる人は感じているかもしれませんが、ピルを飲むと生理の症状がだいぶ楽になります。
ただし、ピルの「休薬期間」の症状が気になる人もいるかもしれません。
- 本当に休薬期間って必要なの?
- そもそも生理自体、本当に必要なの?
と疑問に思うでしょう。
実は、「フレックス飲み」をすることで、休薬期間の回数を減らすことが可能です。ピルの飲み方を理解することが出来れば、自分で生理(休薬期間)をコントロールできます。
すると、ライフスタイルに応じて、生理とうまく付き合っていくことも可能になります。
今回「ピルのフレックス飲み」について説明していきます。
この記事のまとめ
- フレックス飲みによって、ピルを最長で120日間連続して飲むことが可能です。
- 休薬期間の回数を減らすことができ、休薬期間に伴う症状を減らすことができます。
- フレックス飲みの原則、注意点をおさえて安全に服用するようにしましょう。
フレックス飲みとは?
ピルを最長で120日間連続して飲むことが可能です。
連続投与することで、定期的な「休薬期間の回数」を少なくすることができます。
すると、休薬期間にともなう「消退出血」(月経みたいな出血)の回数を少なくすること、休薬期間にみられる「腹痛」「頭痛」「乳房痛」などの随伴症状の回数を少なくするなどの効果が期待できます。
従来の飲みかたは?
ピルの従来の飲み方は、「21日間」の間ピルを服用して、「7日間」の間ピルを休薬します。
すると、休薬期間の間に「消退出血」(月経みたいなもの)が起こり、理論的には「28日型」の月経周期が規則的に来るようになります。
ちなみに、ピルは「21日タイプ」と「28日タイプ」のものがあります。一番の違いは「偽薬」(プラセボ)が入っているかどうかです。
「21日タイプ」では、「21日間、実薬を内服」→「7日間、休薬期間」
「28日タイプ」では、「21日間、実薬を内服」→「7日間、偽薬を内服(休薬期間)」
となるため、結局は同じです。
ただし、「28日タイプ」では毎日ピル飲む習慣がつくため飲み忘れを防ぐことができます。
フレックス飲み
自分の生理をコントロールできる
フレックス飲みでは、最長120日間連続してピルを飲むことが可能です。
最長120日間なので、それ以下の日数でも連続して内服することが可能です。
原則をおさえて服用すれば、自分の生理をコントロールすることができます。
フレックス飲みの原則
- 休薬期間は「4日間」を超えないこと
- 「4日間」の休薬後は、出血の有無に関わらず服用を開始すること
- 出血の有無にかかわらず「24日間」以上の連続服用をすること
(初めて薬を内服するときも、休薬期間の後も)
注意点
フレックス飲みでは、最長120日間連続してピルを飲むことが可能です。
ただし、連続内服中に出血(「破綻出血」とよばれます)がおこる場合があります。
出血が「3日間」以上つづく場合は、「4日間」の休薬期間を設けましょう。
そして、休薬期間の翌日からピルを飲み始めるようにしましょう。
そもそもピルはどんなくすりですか?
ピルとは?
ピルは、おもに「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンの成分をふくむくすりのことをいいます。
もともとピルは、妊娠をしないためにのむくすり「経口避妊薬」(OC)として使われていました。
じつはピルをのんでいるひとは「生理痛が軽くなる」「生理の量が少なくなる」などの効果もあることがわかってきました。
もともと「避妊」目的で使われてきたピルを、生理の症状をやわらげることを目的として「低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤」(LEP製剤)がつくられました。
OCとLEPとは?
もともと「避妊」目的で使われてきたピルを、生理の症状をやわらげることを目的として「低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤」(LEP製剤)がつくられたため、「経口避妊薬」(OC)と「低用量エストロゲンプロゲステロン製剤」(LEP製剤)の成分がほぼ同じです。
ただし、使用する目的が違っており、避妊目的のものを「経口避妊薬」(OC)、月経症状をやわらげるものを「低用量エストロゲンプロゲステロン製剤」(LEP製剤)と区別して使われています。
ピルはどんな効果がありますか?
避妊効果
ピルは「排卵をおさえること」によって避妊効果を発揮します。
避妊法の効果をはかるものとして「パール指数」という指標があります。
パール指数は、「100人の女性がある避妊法を1年間もちいた場合の妊娠数(つまり避妊に失敗した数)」を示します。
つまり、パール指数は低ければ低いほど、避妊効果は高いということになります。さまざまな報告はありますが、日本での臨床成績では「経口避妊薬」(OC)のパール指数は「0~0.59」でした。
「コンドーム」や「リズム法」より避妊効果は高く、「女性避妊手術」や「子宮内避妊具」とおなじくらいの避妊効果がみられます。
また、ピルを長期にのんでいた場合でも中止すれば妊娠することが可能であり、将来の妊娠のしやすさに影響をあたえない方法です。
月経痛
ピルをのむと生理のときの痛みがやわらぎます。
「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜症」などがあると、生理の時の痛みの原因になります。ピルには、そうした原因がある生理痛もやわらげる効果があります。
過多月経
ピルをのむと生理の量が少なくなります。
ピルには子宮内膜が厚くなるのをおさえる効果があるため生理の量はすくなくなります。
月経前症候群
生理の前に不快な症状をともなうものを「月経前症候群」といいます。
「イライラしやすい」「気分の落ち込み」「頭痛」「乳房痛」などの症状がありますが、ピルによって症状がやわらぎます。
子宮内膜症
ピルをのむと子宮内膜症にともなう生理の痛みがやわらぎます。
また、生理以外のお腹の痛みや腰痛などもやわらげます。
また子宮内膜症にともなって卵巣が腫れることがありますが、ピルを使うとその卵巣の腫れを小さくする効果があります。
また、子宮内膜症にともなう卵巣の腫れに対する手術をおこなった場合、手術のあとに卵巣の腫れが再発するのを予防する効果もあります。
まとめ
- フレックス飲みによって、ピルを最長で120日間連続して飲むことが可能です。
- 休薬期間の回数を減らすことができ、休薬期間に伴う症状を減らすことができます。
- フレックス飲みの原則、注意点をおさえて安全に服用するようにしましょう。
ピルをうまくつかうことで、生理による症状をコントロールすることができて、より快適に生活をおくることができます。
また、ピルを避妊目的で使用することで、「いつこどもをつくるか」「今はこどもはつくらない」などの家族計画をサポートしてくれます。
ピルをうまく活用することができると、女性の生活はよりよいものになります。
「避妊」や「生理の症状」などで悩んでいる場合は、一度産婦人科を受診して「ピル」を使うかどうかふくめて相談してみることが大切です。
また、ピルには「さまざまな飲み方」があって理解するのは難しいです。
飲み方をふくめて、産婦人科に相談するようにしましょう。
この記事によって「ピルのフレックス飲み」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
コメントを残す