【解説】健康寿命延伸のための提言「食事」3/10

結論ですが、
年齢に応じて、多すぎず、少なすぎず、偏りすぎないバランスのよい食事を心がけましょう。

この記事は「健康について関心のある」ヒトに向けて書いています。
自身の健康への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「健康寿命を伸ばすための具体的な行動」がわかります。

突然ですが「健康」とはなんでしょうか?

普段当たり前に使っている「健康」という言葉ですが、
改めて「健康ってなにか」と考えると、その意味は意外と難しいです。

健康は良いこと
年を重ねてもいつまでも健康でいたい
病気にならないで健康でいたい
毎日が健康でいきいきとしていたい
あの人は健康的でいいね

など「健康」にはポジティブな印象があるかとおもいます。

これからは人生100年時代です。
長い人生をよりよく過ごすために「健康」について知ることが大切です。
そして「健康寿命」を伸ばすことがポイントになってきます。

2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「健康寿命延伸のための提言」が公開されました。
そこには、エビデンスに基づく「健康に過ごすための具体的な予防行動」が10項目に分けて提言されています。
みなさんが健康に過ごすために役立つ内容であり、順に説明していきたいと思います。
今回は「食事」について説明していきます。

この記事のまとめ

(健康のための具体的行動)
1.食塩の摂取は最小限にしましょう。
2.野菜・果物・食物繊維を適切に摂取しましょう。
3.大豆製品を多く摂取しましょう。
4.魚を多く摂取しましょう。
5.赤肉・加工肉などの多量摂取を控えましょう。
6.甘味飲料は控えめにしましょう。
7.年齢に応じて脂質・乳製品・タンパク質の摂取を工夫しましょう。
8.多様な食品の摂取を心がけましょう。

健康寿命延伸の提言とは

健康寿命延伸の提言とは

2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関(※)の連携によって「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」が公開されました。
これは、日本人の健康寿命を伸ばすために必要な「予防行動」について提言されています。
健康寿命を伸ばすためには、「小児」「妊婦」「成人」「高齢者」など年齢や状態に応じて、さまざまな疾患を横断的に予防することが必要です。
しかし、予防について疾患横断的にまとめられたガイドラインや指針は今までなかったため、このような提言がされるに至りました。

健康寿命とは

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。

出産して産まれてきてから、死亡するまでの期間を「寿命」と言います。
それに対して、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを「健康寿命」と言います。
単に「寿命」を伸ばすだけでなく、「健康寿命」を伸ばすことが、人生をよりよく過ごすために重要になります。

健康寿命延伸のための10項目

健康寿命を伸ばすための具体的な予防行動などが10項目について提言されています。

いずれも国内外の様々な疫学研究やエビデンスに基づいたものになっております。
疾患横断的に健康を左右する「生活習慣」「生理学的要因」「社会的・物理的環境」について以下の10項目について提言されています。
いずれも、みなさんが日常生活の中で取り組める内容であり、健康に過ごすために是非とも実践して欲しいです。
今回は「食事」について説明していきたいと思います。

健康のための具体的行動1.食塩の摂取は最小限にしましょう。

塩分摂取は、男性で1日7.5g未満、女性で1日6.5g未満にしましょう。

塩分を多く摂ると、塩分による胃粘膜の刺激によって胃に炎症が起こります。慢性的に炎症が起こると「胃がん」のリスクが高まります。

また、塩分を多く摂ると、皆さんご存知の通り血圧が上がります。「高血圧」になると、脳卒中や循環器疾患などのリスクが高まります。

食塩の摂取は最小限にして、塩分摂取は男性で1日7.5g未満、女性で1日6.5g未満にしましょう。


健康のための具体的行動2.野菜・果物・食物繊維を適切に摂取しましょう。

成人において、野菜を1日350g、果物を1日200g、食物繊維を1日17-21gを目標に摂取するようにしましょう。

野菜・果物を適切に摂取することや、食物繊維を多く摂取することによって、「がん」「糖尿病」の予防につながります。また、女性も場合は妊娠した時に「妊娠高血圧症候群」の予防にもつながります。

健康のための具体的行動3.大豆製品を多く摂取しましょう。

大豆製品、とくに発酵性大豆食品を多く摂取するようにしましょう。

大豆は、「タンパク質」が豊富に含まれており栄養面で良いだけでなく、さまざまな健康効果がある「大豆イソフラボン」が含まれています。

大豆製品を多く摂取することで、脂質代謝異常症の改善効果が期待でき、循環器疾患の予防につながります。
また、発酵性大豆食品(納豆、とうふなど)を多く摂ることによって、「早死」や「高血圧」の予防、「がん」の予防につながります。
ただし、「大豆イソフラボン」のサプリメントの摂取には注意が必要です。

大豆製品、とくに発酵性大豆食品を多く摂取するようにしましょう。

健康のための具体的行動4.魚を多く摂取しましょう。

魚を多く摂取するようにしましょう。

魚を多く摂取することで、循環器疾患の予防につながります。
また、妊娠さんは魚介類を多く摂ることによって、「妊娠高血圧症候群」や「早産」の予防につながります。ただし、妊娠中では極端に偏った魚介類の摂取によって水銀を摂取してしまう可能性に注意が必要です。

妊娠中はとくに水銀摂取に注意して、魚を多く摂取するようにしましょう。

健康のための具体的行動5.赤肉・加工肉などの多量摂取を控えましょう。

赤肉や加工肉、揚げ物の多量摂取を控えるようにしましょう。

赤肉や加工肉には発がん性物質が含まれており、摂りすぎによって「大腸がん」のリスクが増加する可能性があります。
赤肉や加工肉、揚げ物には、健康にとって悪い脂質である「トランス脂肪酸」が多く含まれています。多く摂取することで、「循環器疾患」や「糖尿病」のリスクが増加します。

赤肉や加工肉、揚げ物の多量摂取を控えるようにしましょう。

健康のための具体的行動6.甘味飲料は控えめにしましょう。

甘味飲料の摂取を控えるようにしましょう。

甘味飲料の摂取によって「糖尿病」のリスクが増加します。
また、甘味飲料の摂取によって「妊娠する可能性」が低下しやすくなります。さらに、妊娠中の甘味飲料の摂取によって、生まれてきた子どもが肥満になりやすくなります。
子どもの甘味飲料の摂取によって、「肥満」や「発達障害」になるリスクが増加する可能性があります。
さらに、甘味飲料によって「血糖値の急上昇」が引き起こり、さまざまな健康への悪影響が起こります。

甘味飲料の摂取を控えるようにしましょう。

健康のための具体的行動7.年齢に応じて脂質・乳製品・タンパク質の摂取を工夫しましょう。

脂質

脂質(飽和脂肪酸)を摂りすぎないようにしましょう。また、高齢者は低栄養予防のため適度な脂質の摂取が好ましいです。
健康にとって悪い脂質として「飽和脂肪酸」があります。「飽和脂肪酸」の摂りすぎによって「脂質代謝異常症」につながり、「動脈硬化」や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」のリスクが上がります。

乳製品

「乳製品」を積極的に摂るようにしましょう。
「乳製品」の摂取によって、成人や高齢者では、「虚血性心疾患」のリスクが低くなります。また、子どもでは、全乳および乳製品を摂取していると肥満になりにくいと考えられています。

タンパク質

タンパク質のうち、「動物性たんぱく質」より「植物性たんぱく質」の摂取割合が多いと死亡リスクが低くなります。
また、子どもの低出生体重の予防のために、妊娠中は適度なたんぱく質の摂取が必要です。
高齢者の「サルコペニア」(筋肉量が低下する状態)予防のために十分なたんぱく質の摂取が必要です。

健康のための具体的行動8.多様な食品の摂取を心がけましょう。

多様な食品の摂取を心がけましょう。

「DASH食」や「地中海食」は循環器疾患の予防につながります。

「DASH食」とは、「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略であり、高血圧を予防するために考案された食事のことです。カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルや食物繊維が豊富な野菜や果物、乳製品など多様な食品が含まれています。

「地中海食」は、イタリア・ギリシャ・スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理のことです。
果物や野菜を豊富に使用しており、乳製品や肉よりも魚を多く使われている、オリーブオイル・ナッツ・豆類・全粒粉など生成されていない穀物をよく使うなどの特徴があります。

まとめ

(健康のための具体的行動)
1.食塩の摂取は最小限にしましょう。
2.野菜・果物・食物繊維を適切に摂取しましょう。
3.大豆製品を多く摂取しましょう。
4.魚を多く摂取しましょう。
5.赤肉・加工肉などの多量摂取を控えましょう。
6.甘味飲料は控えめにしましょう。
7.年齢に応じて脂質・乳製品・タンパク質の摂取を工夫しましょう。
8.多様な食品の摂取を心がけましょう。

みなさんにとって「健康」というものがとても大切です。

しかし、普段の忙しい日常の中で、「自分のからだ」や「健康」について意識する機会はそう多くはないかと思います。

病気をしたときに、はじめて今まで「健康」で過ごせたことがありがたいを感じるようになる人が多いです。そして、病気をしたときには手遅れになっていることもあります。

「健康」である今、健康について考えておくことが必要なのです。

「健康」であることが、「仕事」「家事」「育児」「介護」「遊び」などすべての活動をおこなう上で前提となります。
「健康」であることが、何よりも大切なのです。

人生100年時代です!

長い人生をよりよく生きるために、「健康」について改めて考えてみてはいかがでしょう。

この記事によって、「食事の健康への影響」についての理解が深まり、一人でも多くの人が健康的に日々の生活を送ることを願っています。

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