結論ですが、
HIVは免疫細胞に感染するウイルスのことをいいます。
この記事は「HIV」について心配している人に向けて書いています。
「HIV」に関する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「HIV」についてわかります。
「HIV=死」というイメージがあります!?
妊娠中の検査でHIV検査がありました…
HIVとエイズって何が違うのですか?
今回は、このような印象・疑問などにお答えします。
1990年代後半くらいまでは「HIV=死」というのは、まぎれもない事実でした。
効果的な治療がないまま、多くの人々が亡くなっていきました。
しかし、1996年に抗HIV薬を組み合わせた治療である「HAART」の登場により、治療効果は劇的に良くなりました。
少なくとも、HIV感染に早く気づいて、適切な治療を受けることで、完治まではいかないまでも、発症までの期間を伸ばすことができ、長く生きることが可能性な病気になりました。
今回はそんなコワイ印象のある「HIV」について説明したいと思います。
この記事のまとめ
- HIVは免疫細胞に感染するウイルスのことをいいます。
- エイズは、「HIV」に感染した結果、免疫力が低下し、普段は感染しないような病気にかかってしまう症候群のことをいいます。
- HIV感染の症状は、「インフルエンザ様症状」や「日和見感染による症状」などがあります。
- HIVの検査は、血液検査が行われ、「スクリーニング検査」や「精密検査」などが行われます。
- HIVの治療は、エイズの発症を防ぐことが目標となり、抗HIV薬の多剤内服によって行われます。
- HIVの感染予防は、「コンドームの着用」「曝露後予防法」などがあります。
HIVとは
HIVとは
HIVは、「Human Immunodeficiency Virus」(ヒト免疫不全ウイルス)の略であり、免疫細胞に感染するウイルスのことをいいます。
エイズとは
「エイズ」(AIDS)とは「Acquired ImmunoDeficiency Syndrome」(後天性免疫不全症候群)の略です。
「HIV」に感染した結果、免疫力が低下し、普段は感染しないような病気にかかってしまう症候群のことをいいます。
HIVは、「Human Immunodeficiency Virus」(ヒト免疫不全ウイルス)の略であり、免疫細胞に感染するウイルスのことをいいます。代表的な23疾患が決められており、これらを発症した時点でエイズと診断されます。
感染経路
HIVは、血液や精液、腟分泌液、母乳などを介して感染します。
主に「性行為」「母子感染」「血液感染」などで感染します。ただし、唾液、涙、尿などでは、他の人に感染させるだけのウイルス量は含まれていないです。
潜伏期
HIV感染からエイズ発症までは「数年から10年以上」と言われています。
HIVに感染すると、数日後にインフルエンザのような症状が起こり、数週間でおさまります。その後、数年から10年以上の無症候期を経て、エイズが発症するのです。
HIV感染の症状
インフルエンザ様症状
HIVに感染すると、数日後にインフルエンザのような症状が起こります。
具体的にいうと「発熱」「倦怠感」「食欲不振」「咽頭痛」「咳」「鼻水」「下痢」「嘔吐」などの症状が現れます。
日和見感染
エイズを発症すると、免疫力が低下し、普段は問題なかった病原体による症状が現れるようになり、「日和見感染」とよばれます。
とくに病原性の弱いウイルス、真菌、原虫などによる感染症が起こり、肺炎、腸炎、リンパ腫などの症状が起こります。
HIVの検査
スクリーニング検査
スクリーニング検査では、血液中にHIVに対する抗体があるか調べます。
ただし、HIVに感染して時間が経っていない場合には、抗体が産生されておらず、検査「陰性」となってしまう場合があります。
感染したと思われる時期から時間が経っていない場合には、時間を空けて複数回の検査が必要になることもあります。
精密検査
HIVのスクリーニング検査で「陽性」だった場合は、HIVのRNA量を測定するPCR検査や、HIVの抗体を検査するウエスタンブロット法で確認します。
スクリーニング検査で「陽性」であっても、実は感染していないことがわかる場合があるので、追加検査をした上でHIV感染の判断が行われます。
HIVの治療
HIVを治すことは出来ませんが、くすりによってエイズの発症を防ぐことはできます。抗HIV薬の内服によって治療が行われます。
基本的には3-4種類の薬を内服する多剤併用療法が行われます。耐性獲得のリスクがあるため、抗HIV薬の治療が開始したら、一生飲み続ける必要があり、飲み忘れないようにします。
HIVの感染予防
コンドームの着用
HIV感染の8割以上は性行為によって感染します。
性感染を予防するために、コンドームを正しく着用するとともに、不特定多数との接触を避けるようにしましょう。
曝露後予防法
「曝露後予防法」というHIVに感染した可能性がある場合に抗HIV薬を内服する方法があります。
たとえば、医療機関における針刺し事故、性行為のパートナーがHIV感染者だった場合など「HIVに感染した可能性がある場合」に、72時間以内に抗HIV薬を内服を開始します。そして、HIVに感染するリスクを低下させるのです。
また、「曝露前予防法」というHIVに感染するリスクが非常に高い場合(パートナーがHIV感染者など)に抗HIV薬を内服する方法があります。
まとめ
- HIVは免疫細胞に感染するウイルスのことをいいます。
- エイズは、「HIV」に感染した結果、免疫力が低下し、普段は感染しないような病気にかかってしまう症候群のことをいいます。
- HIV感染の症状は、「インフルエンザ様症状」や「日和見感染による症状」などがあります。
- HIVの検査は、血液検査が行われ、「スクリーニング検査」や「精密検査」などが行われます。
- HIVの治療は、エイズの発症を防ぐことが目標となり、抗HIV薬の多剤内服によって行われます。
- HIVの感染予防は、「コンドームの着用」「曝露後予防法」などがあります。
今回は「HIV」について説明しました。
ときどき間違っている人がいますが…
HIVは、免疫細胞に感染する「ウイルス」のことをいいます。
エイズは、HIVの感染によって引き起こる「症候群」のことです。
(勘違いに注意)
つまり、「HIV」という病気はないです。
また、HIVウイルスと表現するとウイルスが重複してくどいです。
さらに、エイズ(AIDS)という病原体は存在しないです。
医療機関で、手術前や妊娠中など「HIV」検査を受けることは多いかと思います。
多くの人は、HIV検査が問題ないことが多いですが、たまに「陽性」(検査でひっかかる)の場合があります。
HIVのスクリーニング検査で陽性であっても、実際にはHIV感染が問題ないことが多いのがHIV検査の特徴です。
万が一、HIV検査でひっかかった場合には、追加検査など担当医と相談するようにしましょう。
この記事によって、「HIV」についての理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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