ホルモン補充療法の処方【診療の流れ】

結論ですが

ホルモン補充療法を希望する場合には「問診」「診察」「処方」という流れで診療が行われます。

この記事は「ホルモン補充療法を希望する」女性に向けて書いています。
自身の健康への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「ホルモン補充療法の診療の流れ」についてわかります。

ホルモン剤が欲しいですがどうすればいいですか?

このような疑問にお答えします。

更年期の症状がひどい…
顔がほてる…
骨や血管の健康管理をしたい…

このような症状を改善する場合に「ホルモン補充療法」が有効です。

ホルモン剤を使う場合には副作用がコワいです!

確かに「ホルモン剤」には副作用もあるため、安全に使うためにいくつか注意すべき点があります。実際にどのような流れでホルモン剤が処方されるのか。
今回、当クリニックで行う「ホルモン補充療法の診療の流れ」を参考に紹介したいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックHP」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/

この記事のまとめ

1.問診

症状を確認する

「ホルモン補充療法」(HRT)によって改善させたい症状などを確認します。
たとえば、「顔がほてる」「汗が多い」「体が暑く感じる」などの「Hot flush」と呼ばれる症状があります。これらの症状はホルモン補充療法によって改善します。
また、ホルモン補充療法には「骨を強くする効果」「血管を健康にする効果」など様々な効果があるので、将来的な健康管理をする目的にも使われます。

HRTの適応か判断する

「ホルモン補充療法」(HRT)が治療方法として適切か判断します。

更年期による症状を改善する方法は、「HRT」以外にも「対症療法」「漢方薬」「サプリメント」「カウンセリング」などがあります。「HRT」による治療が適切なのか判断します。

禁忌・慎重投与を確認する

「HRT」を使ってはいけない場合「禁忌」(きんき)、「HRT」を慎重に使わなければならない場合「慎重投与」がないか確認します。

「クスリはリスク」という言葉があるように、くすりには「メリット」もあれば副作用などの「デメリット」もあります。
くすりを安全に使える状態なのか確認する必要があります。
「HRT」の「禁忌」や「慎重投与」をモレなく確認するために問診表を記載しましょう。

2.診察

婦人科診察

「内診」「エコー」など婦人科診察をおこないます。

とくに、「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの病変がないか確認します。ホルモン補充療法によって、これらの病変が悪化しないか定期的にフォローアップします。

がん検診

「子宮頸がん」「子宮体がん」の検診をおこないます。また、「乳がん」の検診をすすめます。

とくに「子宮体がん」や「乳がん」の場合には、ホルモン補充療法は「禁忌」であり、使用することが出来ません。また、長期間のホルモン補充療法によって「乳がん」リスクがあがる可能性があります。
ホルモン補充療法の投与前だけでなく、ご自身の健康管理のため、定期的ながん検診を受けるようにしましょう。

血液検査

ホルモン補充療法の前に「血液検査」をおこないます。

とくに「甲状腺機能」「肝機能」「脂質」「コレステロール」「血糖」などの項目を検査します。
更年期の症状の原因として「甲状腺機能異常症」が隠れている場合があります。
また、「肝機能障害」「脂質異常症」「糖尿病」では、ホルモン補充療法の「禁忌」や「慎重投与」となります。

身長・体重

ホルモン補充療法の前に「身長」と「体重」を測定し「BMI」を計算します。

とくに「BMIが25以上」の肥満者では血栓症のリスクが高くなるため、ホルモン補充療法の「慎重投与」となります。

血圧

ホルモン補充療法の前に「血圧」を測定します。

「コントロール不良の高血圧」の場合は、動脈硬化による「脳卒中」「心血管疾患」「血栓症」のリスクが高くなるため、「慎重投与」となります。
なお、高血圧の基準は、収縮期血圧(上の血圧)が「140mmHg以上」または拡張期血圧(下の血圧)「90mmHg以上」の場合を言います。(高血圧ガイドライン2019)

骨量検査

ホルモン補充療法の時に「骨量検査」をオススメします。

更年期以降は、「エストロゲン」(女性ホルモン)の低下によって、「骨粗しょう症」になりやすいです。また、ホルモン補充療法によって「骨量」を改善する効果があります。
それらを評価するために「骨量検査」をオススメします。

心電図

心電図検査で、不整脈などの評価をします。

更年期障害の症状が「不整脈」によって起こっている可能性があり、その評価を行います。
また、「肥満者」や「脂質代謝異常症」の場合はとくに心疾患をわずらっている可能性があるため、心電図で評価します。

3.処方

HRTの種類

ホルモン補充療法では、さまざまな種類があります。

「エストロゲン」(女性ホルモン)の薬は、「飲み薬」「貼り薬」「塗り薬」などがあります。
このうち、「貼り薬」「塗り薬」は皮膚を通じて吸収されるので、胃腸や肝臓への負担が少なります。

投与方法

ホルモン補充療法には「黄体ホルモン併用法」「周期投与法」「連続投与法」などの投与法があります。「子宮の有無」や「月経の有無」によって投与法が選ばれます。

具体的にいうと、子宮がある場合には子宮体がん予防のために「黄体ホルモン併用法」が選ばれます。また、閉経前の月経がある場合には「周期投与法」によって定期的に月経を起こします。閉経して月経がない場合には「連続投与法」が選ばれます。

処方日数

「ホルモン補充療法」の処方は、初めての場合には基本的には「1か月分」処方します。
HRTによる副作用がないか自覚症状や血液検査などで確認します。
副作用がなく、症状が安定している場合には、「3か月分」など長期処方していきます。

まとめ

今回は「ホルモン補充療法の診療の流れ」について説明しました。

更年期による症状は「ホルモン補充療法」によって改善する場合が多いです。
また、「ホルモン補充療法」には「骨を強くする」「血管を健康にする」など様々な効果があります。
症状で悩んでいる人も、健康的に過ごしたい人にも有効な方法なのです。

悩んでいる人は、勇気をもって婦人科を受診して相談するようにしましょう。
婦人科は困った人の味方です。

この記事によって「ホルモン補充療法の診療の流れ」についての理解が深まり、受診に対する不安が解消し、一人でも多くの人に役立って頂ければ幸いです。

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