結論ですが
妊娠中のお腹のはる感じがある場合には「かかりつけに受診を相談すること」「安静とハリ止めのくすりで治療すること」が大切です。
この記事は妊婦さん向けに書いています。
妊娠中のさまざまな疑問、不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「切迫早産」についてわかります。
妊娠中にお腹がはる感じがすることは多くのひとが経験します。
人によってはお腹がはる感じがよくわからないこともあるかと思いますが、子宮が収縮して縮もうとしたときにお腹がはる感じを自覚します。
このお腹のはる感じを「腹部緊満感」といいます。
これは大丈夫なお腹のハリなのか、自分で判断することは難しいかと思います。
基本的には安静にしてすぐにハリが落ち着くようであれば大丈夫な場合が多いです。しかし、ハリがずっと続いて心配な場合があるかと思います。
今回は「妊娠中お腹のはる感じ」があるときについて説明します。
この記事のまとめ
- 妊娠中のお腹のはる感じがある場合には「かかりつけに受診するべきか相談すること」「安静とハリ止めのくすりで治療すること」が大切です。
- お腹のはる感じがあるときに「エコー」「内診」「腟鏡診」などの検査をします。
- 切迫早産と診断された場合は、おもに「安静」と「ハリ止めの薬」で治療します。妊娠週数や重症度などによって「自宅」「入院」「高度な周産期センター」などどこで治療をするべきか判断します。
お腹がはる感じがあるときはどうすればいいですか?
妊娠中のお腹のはる感じがある場合には「かかりつけに受診するべきか相談すること」が大切です。
子宮が収縮して縮もうとしたときに「お腹がはる感じ」を自覚します。お腹のはりがひどくなると、子宮の収縮によって赤ちゃんを出そうとする力が働きます。
最悪、妊娠週数が浅いうちに赤ちゃんが出てしまい「流産」や「早産」になってしまうことがあります。
ちなみに、22週未満の分娩を「流産」、22週から37週未満の分娩を「早産」といいます。流産になる可能性が高い状態を「切迫流産」、早産となる可能性が高い状態を「切迫早産」と診断されて治療へとつなげる流れとなります。
お腹がはる感じがあるときにはどんな検査をしますか?
お腹のはる感じがあるときには、赤ちゃんが出やすい状態になっているか検査をして判断します。具体的にいうと「エコー」「内診」「腟鏡診」などの検査をして重症度を評価します。
エコー
腟口からエコーを挿入して検査をします。子宮の入り口の長さを測ったり、子宮の入り口の形を評価します。
とくに子宮の入り口の長さが25mm以下の場合には、早産となる可能性が高くなるので、入院もふくめて慎重に治療を検討します。
内診
腟口から内診指を挿入して、診察をします。子宮の入り口の「開き具合」「硬さ」「向き」「赤ちゃんの頭の高さ」などを評価します。
子宮の入り口が赤ちゃんが出やすい状態になっているのか判断します。
腟鏡診
腟鏡(クスコ)という器械を用いて、子宮入り口や腟内を観察します。「破水」や「出血」がないか、「赤ちゃんの袋が出てきてないか」など確認します。
子宮入り口の感染や炎症反応が切迫流産・早産の原因となります。必要があれば腟鏡診のときに一緒におりものを採取して、細菌感染がないか、炎症反応の指標となる検査などを調べます。
切迫早産では、どんな治療をしますか?
切迫早産と診断された場合は、おもに「安静」と「ハリ止めの薬」で管理していきます。
切迫早産の治療は、軽度であれば「自宅安静」と「ハリ止めの飲み薬」で外来で様子をみます。重度であれば入院をして「安静」と「ハリ止めの点滴」などで治療します。エコー検査で「子宮の入り口の長さ」をはかったり、モニターで「子宮の収縮」を評価して、ハリ止めの内服薬の錠数や点滴の量を適宜調整していきます。
また、切迫早産が重度で、赤ちゃんの臓器が未熟な週数(妊娠34週未満)に産まれる可能性が高い場合は、「ステロイド」の注射薬を使用して、少しでも赤ちゃんの臓器が成熟するようにします。
どこで切迫早産の治療をしますか?
じつは、切迫早産の治療は「治療の場」というの視点も大事になります。
たとえば…
軽度であれば「自宅」で様子をみますが、「自宅安静」と「ハリ止めの飲み薬」で経過をみていくことになります。
重度であれば「入院」して治療しますが、「安静」と「ハリ止めの点滴」で治療していきます。
また、妊娠週数が浅く万が一赤ちゃんが未熟で出てきてしまう可能性が非常に高い場合は「一般的な分娩施設」でなく、NICUという産まれてくる赤ちゃんの集中治療室のある「高度な周産期センター」に転院になることもあります。
まとめ
妊娠中のお腹のはる感じがある場合には「かかりつけに受診するべきか相談すること」「安静とハリ止めのくすりで治療すること」が大切です。
お腹のはる感じがあるときに「エコー」「内診」「腟鏡診」などの検査をします。
切迫早産と診断された場合は、おもに「安静」と「ハリ止めの薬」で治療していきます。妊娠週数や重症度などによって「自宅」「入院」「高度な周産期センター」など「治療の場」を考えます。
妊娠中は体の変化から、さまざまな症状が起こります。
今回説明した「お腹のはる」症状が起こる妊婦さんはとても多いです。
けっこう症状を我慢して、自分でなんとかしようとする人がいますが、症状がひどくなってしまうことがあります。
お腹の中の赤ちゃんを守るという点でも、妊娠中のお腹のはる感じがある場合には勇気をもって、かかりつけに受診するべきか相談することが大切です。
この記事によって「切迫早産」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
コメントを残す