手術までの流れはどのような感じですか?【手術の予定組み】

結論ですが

安全な手術のためには、手術を受けるまでの予定を組む必要があります。

この記事は「手術をうけることになった人」に向けて書いています。
この記事を読むことで「手術をうけるまでの流れ」がわかります。

「手術が必要です」ってなった場合、「すぐに手術にうつりましょう」ということには基本的にならないです。

「緊急手術」や「リスクの低い小手術」は別ですが、手術を受けることになった場合は、手術を安全に行うために準備が必要です。とくに長時間かかる大きな手術の場合は入念な準備が必要になります。

はじめて手術をうけることになった人は、わからないことだらけで大変かと思います。

今回、「手術までの予定組みと流れ」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • ①手術日程の調整
  • ②医療情報の確認
  • ③術前検査
  • ④麻酔科の受診
  • ⑤手術説明と同意

手術日程の調整

手術日程を確認して調整します。
基本的には、病院には手術枠がもうけられています。
空いている手術日を確認して、患者さんの都合が良い日にあわせて手術時期の日程を調整します。

ちなみに、これから説明する「術前検査」や「麻酔科の受診」「手術説明」などがあるため、スケジュールに余裕をもたせて手術の予定を組むかたちになります。

症状がひどい場合や、あまり放置しておきたくない疾患の場合には、早めに手術の予定を組むこともあります。

病院によっては、手術の予定でうまっていて、半年以上待たなければいけないところもあります。場合によっては、他の病院に紹介してもらうようなことも考慮しましょう。

医療情報の確認

安全に手術ができるか医療情報を確認することが重要です。

併存症・既往歴

定期的に通院している病気「併存症」や、過去に入院が必要なくらいの大きな病気「既往歴」がある場合にはしっかりと伝えましょう。
定期的に通院している病気のコントロール状況や手術をおこなっても大丈夫なのかを確認します。
また、お腹の手術が過去に行われている場合はお腹の中の癒着が想定され、術式が変わったり手術の準備が必要になったりします。
またお腹のキズが利用できるかなど考えアプローチ方法を決めていきます。

内服薬

つかっている薬がある場合には、すべて伝えましょう。

とくに血液をサラサラにする薬や、血栓リスクのある薬には注意が必要です。

血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合は手術中の出血を助長してしまう場合があります。病状によって、休薬をするか、他の血液をサラサラにする薬に変更するかなど判断します。

手術前後は血栓という血液のかたまりができるリスクが上がります。血栓リスクのある薬を使っている場合には、手術前から休薬する必要があります。

アレルギー情報

薬や食べ物などのアレルギー情報の確認をします。

アレルギーのある薬は使用しないようにします。

食べ物でアレルギーがある場合は注意をします。
たとえば、フルーツアレルギーの患者で種類によってはラテックスアレルギーを起こす場合があります。その場合は、医療者はラテックスが使用されていないラテックスフリーの手袋を用いて手術を行います。
また、病院で提供する食事はアレルギーのある食材をつかわないようにします。

術前検査

手術を安全に行える状態か確認するため術前検査を行います。

術前検査では、おもに「血液検査」「尿検査」「心電図」「胸部・腹部レントゲン」「肺活量」などが行われます。
検査で異常がでた場合には、その診療科の診察をうける必要がある場合があります。

また、万が一、手術前後で合併症など起こった場合に、手術前の検査結果があるため、その前後で検査結果を比較することもできます。

麻酔科の受診

麻酔が必要な手術をうける場合には、麻酔科の事前受診が必要です。

麻酔科では、「術前検査」の結果をみて安全に手術できるか判断したり、実際の麻酔方法の相談をしたりします。

手術説明と同意

「手術の必要性」「実際の手術手順」「手術合併症」「手術後のながれ」など具体的な説明をしていきます。

手術の必要性

そもそも今回の手術はなぜ必要性なのか、手術以外の治療法の可能性なども含めて確認します。

手術手順

お腹にどのようなキズがついて病変にアプローチするのか、どのように病変を切除するのかなど手術の具体的な流れを説明します。
また、必要であれば手術前の前処置や、ドレーンなどの術後の挿入物について説明します。

手術合併症

残念ながら100%安全な手術はないです。手術に伴う危険性はある一定確率でおこります。
出血・臓器損傷・感染・血栓症などのリスク、そして場合によては再手術の必要などあります。

術後の流れ

術後食事の開始や、歩行の開始、検査や診察などのスケジュールの説明があります。
また、退院時期の目安や次回外来受診日などの予定組み。手術で摘出した臓器は、病理検査(顕微鏡で組織レベルで診断する検査)をおこなうことになるが、その結果説明をいつ説明するのかなど説明があります。

手術の同意

手術に関する説明を受けた上で同意いただければ、同意書にサインしていただきます。
あとは手術をうける日を待つのみです。
なお、一度同意した場合も、手術をうけるまではいつでも撤回することが可能です。

まとめ

安全な手術のためには、手術を受けるまでの予定を組む必要があります。

  • ①手術日程の調整
  • ②医療情報の確認
  • ③術前検査
  • ④麻酔科の受診
  • ⑤手術説明と同意

といった流れで手術まですすんでいきます。

以前にくらべると手術はとても安全におこなえるようになってきました。
しかし、残念ながら100%安全な手術はないです。

事前の準備を入念におこなうことで少しでもリスクを減らすことができ、より安全に手術ができることにつながります。

実際の手術までの流れを知ることで、手術に余裕をもって準備ができる人が増えることを願っています。