【解説】健康寿命延伸のための提言「飲酒」2/10

結論ですが、
節酒しましょう。飲むなら節度ある飲酒を心がけましょう。そして、飲まない人や飲めない人にお酒を強要しないようにしましょう。

この記事は「健康について関心のある」ヒトに向けて書いています。
自身の健康への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「健康寿命を伸ばすための具体的な行動」がわかります。

突然ですが「健康」とはなんでしょうか?

普段当たり前に使っている「健康」という言葉ですが、
改めて「健康ってなにか」と考えると、その意味は意外と難しいです。

健康は良いこと
年を重ねてもいつまでも健康でいたい
病気にならないで健康でいたい
毎日が健康でいきいきとしていたい
あの人は健康的でいいね

など「健康」にはポジティブな印象があるかとおもいます。

これからは人生100年時代です。
長い人生をよりよく過ごすために「健康」について知ることが大切です。
そして「健康寿命」を伸ばすことがポイントになってきます。

2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「健康寿命延伸のための提言」が公開されました。
そこには、エビデンスに基づく「健康に過ごすための具体的な予防行動」が10項目に分けて提言されています。
みなさんが健康に過ごすために役立つ内容であり、順に説明していきたいと思います。
今回は「飲酒」について説明していきます。

この記事のまとめ

(健康のための具体的行動)
1.節酒しましょう。
2.飲むなら節度ある飲酒を心がけましょう。
3.飲まない人や飲めない人にお酒を強要しないようにしましょう。

健康寿命延伸の提言とは

健康寿命延伸の提言とは

2021年2月19日に、国立高度専門医療研究センター6機関(※)の連携によって「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」が公開されました。
これは、日本人の健康寿命を伸ばすために必要な「予防行動」について提言されています。
健康寿命を伸ばすためには、「小児」「妊婦」「成人」「高齢者」など年齢や状態に応じて、さまざまな疾患を横断的に予防することが必要です。
しかし、予防について疾患横断的にまとめられたガイドラインや指針は今までなかったため、このような提言がされるに至りました。

健康寿命とは

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
出産して産まれてきてから、死亡するまでの期間を「寿命」と言います。
それに対して、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを「健康寿命」と言います。
単に「寿命」を伸ばすだけでなく、「健康寿命」を伸ばすことが、人生をよりよく過ごすために重要になります。

健康寿命延伸のための10項目

健康寿命を伸ばすための具体的な予防行動などが10項目について提言されています。

いずれも国内外の様々な疫学研究やエビデンスに基づいたものになっております。
疾患横断的に健康を左右する「生活習慣」「生理学的要因」「社会的・物理的環境」について以下の10項目について提言されています。
いずれも、みなさんが日常生活の中で取り組める内容であり、健康に過ごすために是非とも実践して欲しいです。

今回は「飲酒」について説明していきたいと思います。

健康のための具体的行動1:節酒しましょう。

過剰飲酒の影響

過剰飲酒によって、「がん」「循環器疾患」「高血圧」「糖尿病」のリスクが増加します。また、「アルコール依存症」のリスクも上昇します。

多量の飲酒によって、さまざまな健康への悪影響が知られています。
たとえば、急性アルコール中毒では、「吐き気」「おう吐」「酩酊(めいてい)状態」「傾眠」など症状が起こります。重症化すると、「意識レベルの低下」や「呼吸状態の悪化」などによって、最悪死亡する場合もあります。

また、アルコールは肝臓で代謝されますが、お酒の飲みすぎによって「アルコール性肝障害」が起こり、「肝硬変」や「肝がん」につながることもあります。
また、長期的な影響として「がん」「循環器疾患」「高血圧」「糖尿病」のリスクが増加します。さらに、「アルコール依存症」のリスクも上昇し、「うつ病」「睡眠障害」なども引き起こります。

妊婦の飲酒の影響

妊婦の飲酒によって、「胎児性アルコール症候群」を引き起こします。また、妊婦の安全な飲酒量はありません。

妊娠中にアルコールを摂取すると「アルコール」(エタノール)や「アルデヒド」(アルコールの代謝産物)が胎盤を通過し、お腹の中の赤ちゃんに影響することが知られています。
妊娠中のアルコール摂取によって、「流産」や「死産」につながる可能性があったり、「胎児性アルコール症候群」(FAS:Fatal Alchohol Syndrome)とよばれる先天異常などが生じる可能性があります。
さらに、少量の飲酒でも「胎児性アルコール症候群」が生じるという報告があり、妊娠中の安全なアルコール量というものはありません。

妊娠中は節酒するようにしましょう。

未成年の飲酒

未成年によって、「認知機能」「行動」「脳神経細胞」に悪影響を与える可能性が指摘されています。

飲酒による「脳」への影響が知られています。
たとえば、飲酒量が多くなるほど、脳が萎縮して小さくなってしまうことが知られています。います。また、アルコールによって、「記憶力」や「学習力」が低下するという報告があり、過剰の飲酒によって「認知症」のリスクを高めることが判明しています。
とくに、脳が発達段階である未成年が飲酒をすると「認知機能」「行動」「脳神経細胞」に悪影響を与える可能性が指摘されています。

法律的にも未成年の人は、絶対に飲酒をしないようにしましょう。

健康のための具体的行動2:飲むなら節度ある飲酒を心がけましょう。

適正飲酒量とは

1日あたりの適正飲酒量の目安は、男性で純アルコール換算で「23g程度」、女性でその半分の量までです。

過剰な飲酒によって、さまざまな健康への悪影響が知られています。
基本的には節酒することが健康にとって良いことではあります。しかし、付き合いでどうしてもお酒を飲まなければならない場面や、嗜好品としてお酒を楽しみたい人もいるでしょう。
飲むなら適正飲酒量を心がけて飲みましょう。

1日あたりの「適正飲酒量」の目安は、男性で純アルコール換算で「23g程度」、女性でその半分の量までです。女性では、男性と比較してアルコール分解速度が遅いため、男性の1/2~2/3程度の飲酒が適当であると考えられています。

寝酒は避ける

寝酒によって、「早朝覚醒」や「中途覚醒」を増やし、睡眠の質を低下させます。

寝酒とは、夜に寝る前にお酒を飲むことを言います。
アルコールには眠くなる効果があり、寝付きは良くなります。そのため、不眠症の解消を目的として寝酒を飲む人がいます。
しかし、睡眠の質が変化し、睡眠の途中で起きてしまい「早朝覚醒」や「中途覚醒」が増えたり、脳が十分に休まらず睡眠の質が低下してしまいます。

寝酒によって、かえって睡眠障害が悪化するため、寝酒は避けるようにしましょう。

休肝日をつくる

お酒を飲む習慣がある場合には「休肝日」をつくるようにしましょう。

「休肝日」とは、肝臓を休めるために週1日以上飲酒しない日を作ることを推奨する目的でつくられた造語です。
アルコールは「肝臓」で代謝されますが、お酒の飲みすぎによって「アルコール性肝障害」が起こります。「肝硬変」や「肝がん」につながることもあります。
「休肝日」を設けることによって、アルコールの摂取総量をおさえることができ、アルコールによる肝障害を予防できる可能性があります。

お酒を毎日飲む習慣がある場合には、週に1日以上の「休肝日」をつくるようにしましょう。

健康のための具体的行動3:飲まない人や飲めない人にお酒を強要しないようにしましょう。

アルコールハラスメント

飲まない人や飲めない人にお酒を強要した場合、「アルコールハラスメント」となり、違法行為に当たります。

「アルコールハラスメント」は、アルコール飲料に関して行われる迷惑行為のことをいいます。「飲酒の強要」以外にも、「一気飲ませ」「意図的な飲みつぶし」「飲めない人への配慮を欠くこと」「酔ったうえでの迷惑行為」などがあります。

飲まない人や飲めない人に、絶対にお酒を強要しないようにしましょう。

お酒が飲めない体質

アルコールを受け付けない遺伝的な体質の人がいます。

体質によってアルコールによってすぐに赤くなってしまう人や、生まれつきアルコールを代謝することが出来ない人がいます。
とくに、日本人の約35%がALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)ヘテロ欠損型という、アルコールの解毒作用が弱い遺伝子のタイプです。正確にいうと、アルコールが代謝されて生成される「アセトアルデヒド」を分解することが出来ないタイプです。

お酒を飲めない人がいることを理解したうえで、絶対にお酒を強要しないようにしましょう。

まとめ

(健康のための具体的行動)
1.節酒しましょう。
2.飲むなら節度ある飲酒を心がけましょう。
3.飲まない人や飲めない人にお酒を強要しないようにしましょう。

みなさんにとって「健康」というものがとても大切です。

しかし、普段の忙しい日常の中で、「自分のからだ」や「健康」について意識する機会はそう多くはないかと思います。

病気をしたときに、はじめて今まで「健康」で過ごせたことがありがたいを感じるようになる人が多いです。そして、病気をしたときには手遅れになっていることもあります。

「健康」である今、健康について考えておくことが必要なのです。

「健康」であることが、「仕事」「家事」「育児」「介護」「遊び」などすべての活動をおこなう上で前提となります。
「健康」であることが、何よりも大切なのです。

人生100年時代です!

長い人生をよりよく生きるために、「健康」について改めて考えてみてはいかがでしょう。

この記事によって、「飲酒の健康への影響」についての理解が深まり、一人でも多くの人が健康的に日々の生活を送ることを願っています。