婦人科疾患「過多月経」【診療の流れ】

結論ですが

過多月経は「問診」「検査」「治療」という流れで診療が行われます。

この記事は「過多月経で受診したい」女性に向けて書いています。
婦人科受診への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「過多月経の診療の流れ」についてわかります。

月経の量が多いので受診をしたいですがどうすればいいですか?

このような疑問にお答えします。

月経の量が多いです…
夜用のナプキンでも足りない!?
貧血みたいな感じします…

このような「過多月経に関する悩み」があるときに、婦人科を受診しようか悩むことがあるかと思います。

婦人科を受診したいけれど、なかなか勇気が出ないです…

そんな人が、婦人科受診のハードルが少しでも下がるように、実際にどのような診療が行われるのか説明します。

では、今回は当クリニックで行う「過多月経の診療の流れ」を紹介したいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/

この記事のまとめ

1.問診

症状

月経の量が多くなったのは、いつからなのか、そのきっかけ、月経量の目安などを確認します。
また、「めまい」「動悸」「立ちくらみ」などの貧血による症状で悩まされていないか確認します。

月経

月経に関する情報を確認します。
とくに、今回の症状である「月経の量」に加えて、「初潮」(初めての月経)、「月経の周期」(何日型か?)「月経が規則的かどうか」「最後の月経日」「次の月経予定日」などを確認します。

既往歴

今までにかかったことのある病気について確認します。
中でも「入院が必要な病気」や「手術を行った病気」があれば記載しましょう。
とくに、以前に「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜症」などの婦人科疾患を指摘されてことのある場合には伝えるようにしましょう。

妊娠分娩歴

今までに妊娠や分娩したことがあるか確認します。

妊娠したことがある場合は、「妊娠した回数」、また「流産」や「中絶」をしたことがある場合はその回数も含めて書きましょう。
分娩は「経腟分娩」(自然分娩)なのか「帝王切開」なのかも伝えるようにしましょう。

2.検査

内診

内診では、両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」や「卵巣」などを診察します。
とくに、「子宮の大きさ」を評価して子宮筋腫・子宮腺筋症などの可能性を判断します。

エコー

「エコー検査」では、子宮や卵巣が腫れていないか検査します。
基本的には、腟口からエコーを挿入する「経腟エコー」で検査がおこなわれます。
とくに、「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜ポリープ」などの可能性を判断します。

血液検査

過多月経に伴う「貧血」や、過多月経の原因として「血液の固まりやすさの異常」などがないか血液検査で検査します。
とくに「ヘモグロビン」(Hb)や、「血小板」(Plt)、「凝固系」などの項目を評価します。

3.治療

止血剤

過多月経に対して「トラネキサム散」という止血剤が使われます。
好みが分かれる薬ですが、比較的副作用の少ない薬であり、まずは試してみる場合が多いです。

低用量ピル

過多月経に対して「低用量ピル」が使われます。

もともと「低用量ピル」は、「経口避妊薬」(OC)として使われていました。しかし、「避妊効果」だけでなく「月経量の減少」「月経痛の改善」効果などもあることが判明しました。そのことを利用して、「低用量ピル」は過多月経などの月経症状に対して使われます。

漢方

「漢方薬」は、過多月経などの月経症状を改善するために使われます。
とくに、女性の3大漢方である「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」や「芎帰膠艾湯」(きゅうききょうがいとう)などが使われます。

子宮内避妊具

「子宮内避妊具」が、過多月経に対して使われることがあります。
中でもノボノルゲストレルとよばれる黄体ホルモンを放出するタイプのものがあり、月経の量を少なくする効果や月経痛をやわらげる効果などがあります。

手術

過多月経に対して、手術が行われることがあります。

とくに、月経を早く止めたい場合は、厚くなった子宮内膜を掻爬(そうは)する「子宮内膜掻把術」や、根本的原因である子宮を摘出する「子宮全摘出術」などが行われます。
また、おこなう施設が少ないですが、今後妊娠を希望しない場合には「子宮内膜焼灼術」が行われることもあります。

その他

「子宮筋腫」「子宮腺筋症」「子宮内膜ポリープ」などの過多月経を来たす疾患がある場合には、「対症療法」と並行して、それらの病気への治療を考慮します。

まとめ

今回は「過多月経の診療の流れ」について説明しました。

月経の量が多いがどうしよう…
受診したいけれど、婦人科を受診するのに一歩踏み出せない!
なんだかんだで放置してしまっている…

そんな人は、結構多いです。

婦人科を受診すれば、症状が改善する可能性があります。
気軽に婦人科を受診して相談するようにしましょう。
婦人科は困った人の味方です。

この記事によって「過多月経の診療の流れ」についての理解が深まり、受診に対する不安が解消し、一人でも多くの人に役立って頂ければ幸いです。

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