婦人科疾患「月経前症候群」【診療の流れ】

結論ですが

月経前症候群は「問診」「検査」「治療」という流れで診療が行われます。

この記事は「月経前症候群で受診したい」女性に向けて書いています。
婦人科受診への疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「月経前症候群の診療の流れ」についてわかります。

月経の前の症状がひどいので受診をしたいですがどうすればいいですか?

このような疑問にお答えします。

月経の前はイライラする…
眠たくて何もしたくない!
むくみがひどい!?

このような「月経前症候群に関する悩み」があるときに、婦人科を受診しようか悩むことがあるかと思います。

婦人科を受診したいけれど、なかなか勇気が出ないです…

そんな人が、婦人科受診のハードルが少しでも下がるように、実際にどのような診療が行われるのか説明します。

では、今回は当クリニックで行う「月経前症候群の診療の流れ」を紹介したいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/

この記事のまとめ

1.問診

症状

月経前症候群は、さまざまな症状が起こります。

たとえば、「腹痛」「腰痛」「頭痛」「乳房の痛み」「むくみ」などの身体的症状、「情緒不安定」「イライラ」「抑うつ」「不安」「眠気」などの精神神経症状などがあります。
なお、とくに精神神経症状が強いものを「月経前不快気分障害」(PMDD)とよばれます。

症状のパターン

月経前症候群の症状やそのパターン、いつから気になるようになったか、そのきっかけなど確認します。

また、月経前症候群は、月経前に毎回同じような症状が起こり、月経開始とともに症状が軽くなることが特徴です。症状が起こるパターンが月経周期に応じて変化するかどうか確認することで、月経前症候群に当てはまるか判断できます。

月経

月経に関する情報を確認します。

とくに、「月経の量」、「初潮」(初めての月経)、「月経の周期」(何日型か?)「月経が規則的かどうか」「最後の月経日」「次の月経予定日」などを確認します。

既往歴

今までにかかったことのある病気について確認します。

中でも「入院が必要な病気」や「手術を行った病気」があれば記載しましょう。
とくに、以前に「婦人科の病気」「精神疾患」などの月経前症候群と同じ症状が起こるような病気を指摘されてことのある場合には伝えるようにしましょう。

妊娠分娩歴

今までに妊娠や分娩したことがあるか確認します。

妊娠したことがある場合は、「妊娠した回数」、また「流産」や「中絶」をしたことがある場合はその回数も含めて書きましょう。
分娩は「経腟分娩」(自然分娩)なのか「帝王切開」なのかも伝えるようにしましょう。

2.検査

内診

内診では、両手を使って、「お腹」からの腹診と「腟口」からの内診指の両方から挟み込むようにして「子宮」や「卵巣」などを診察します。
とくに、「腹痛」や「腰痛」などの痛みの原因で、子宮や卵巣などに異常がないか確認します。

エコー

「エコー検査」では、子宮や卵巣が腫れていないか検査します。
基本的には、腟口からエコーを挿入する「経腟エコー」で検査がおこなわれます。
とくに、「腹痛」や「腰痛」などの痛みの原因で、子宮や卵巣などに異常がないか確認します。

おりもの検査

「おりもの検査」では、子宮の入り口から粘液を採取して、そこに病変がないか確認します。とくに、「クラミジア」「淋菌」など腹痛を来すような感染症がないか確認します。
ただし、結果が出るまでに時間がかかるので後日結果が判明する場合が多いです。

うつ病スクリーニング

「月経前症候群」では、症状が似ている「うつ病」などの精神疾患でないことを確認します。
うつ病の可能性がないか簡単に確認する方法があります。

  1. この1カ月間、気分が沈んだり、ゆううつな気持ちになったりすることがよくありましたか?
  2. この1カ月間、どうも物事に対して興味がわかない、あるいはこころから楽しめない感じがよくありましたか?

この2つの質問のうち、1つでも当てはまる場合には「うつ病」の可能性があります。
うつ病など精神疾患の可能性がある場合には、「心療内科」や「精神科」の受診をすすめます。

3.治療

対症療法

月経前症候群の治療は、症状を和らげる「対症療法」が行われます。

たとえば、「おなかの痛み」「頭の痛み」「乳房の痛み」などの「痛み」に対しては、「痛み止め」が使われます。「むくみ」に対して、「利尿薬」が使われます。
また、「抑うつ」「不安」「イライラ」など精神症状に対しては、「向精神病薬」が使われます。

漢方薬

月経前症候群による様々な症状に対して、その人の「証」にあった漢方薬を使われます。

とくに、女性の3大漢方とよばれる「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)、「加味逍遙散」(かみしょうようさん)、「桂枝茯苓丸」(けいしぶくりょうがん)が使われます。
他にも、気分をおちつかせる効果のある「抑肝散」(よくかんさん)や「女神散」(にょしんさん)」などがつかわれます。

「証」をみて「漢方薬」を使い分けるとともに、実際に効果があるかどうかによって調整していきます。

排卵抑制

月経前症候群は「排卵」を抑えることで症状が改善することが知られています。

月経前症候群の原因ははっきりとわかっていませんが、排卵を抑えることで、原因の一つとされている「黄体ホルモン」の分泌がおさえられ、月経前症候群の症状が改善します。
たとえば、「低用量ピル」「GnRH製剤」などの薬が使われます。

その他

月経前症候群の治療は、くすり以外のアプローチも有効です。

「症状日記」「カウンセリング」「規則正しい生活習慣」(睡眠、運動、食事など)「ストレス解消」など方法が効果があります。

まとめ

今回は「月経前症候群の診療の流れ」について説明しました。

月経の前の症状がひどいがどうしよう…
受診したいけれど、婦人科を受診するのに一歩踏み出せない!
なんだかんだで放置してしまっている…

そんな人は、結構多いです。

婦人科を受診すれば、症状が改善する可能性があります。
気軽に婦人科を受診して相談するようにしましょう。
婦人科は困った人の味方です。

この記事によって「月経前症候群の診療の流れ」についての理解が深まり、受診に対する不安が解消し、一人でも多くの人に役立って頂ければ幸いです。

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