「洗浄」と「消毒」と「滅菌」の違いは何ですか?

結論ですが

「洗浄」とは、対象物から異物を除去すること。
「消毒」とは、対象物から多くの病原体を死滅させること。
「滅菌」とは、微生物を完全に除去することです。

この記事は「洗浄・消毒・滅菌」について疑問に思うヒトに向けて書いています。
医療行為に関する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「洗浄・消毒・滅菌」についてわかります。

医療機器を使用した時に、機器を「洗浄」または「消毒」または「滅菌」をする必要があります。
とくに、医療機器を介した感染を予防するために重要な概念となります。

では、「洗浄」「消毒」「滅菌」の違いは何なのか?
今回、「洗浄・消毒・滅菌」について説明したいと思います。

この記事のまとめ

1.洗浄とは

洗浄とは

洗浄とは、対象物からあらゆる異物(汚物・有機物など)を物理的に除去することです。つまり、対象物の表面から汚れを除去することです。

洗浄は、消毒や滅菌を妨げる物質を取り除く効果があり、微生物の除去に非常に有効な方法です。
なお、洗浄は、対象物が汚染されたら、すぐにおこなうと効果が高いです。血液・体液・粘液などで汚染されたものを放置すると乾燥し汚れが落ちにくくなるので、使用後はなるべき早めに洗浄するようにしましょう。

洗浄の方法

洗浄の方法には、「用手洗浄」「浸漬洗浄」「超音波洗浄」「ウォッシャーディスインフェクター」などがあります。

用手洗浄は、洗浄剤とブラシやスポンジを使って汚れを取り除く方法です。
浸漬洗浄は、器材を洗浄液に浸けることで汚れを取り除く方法です。
超音波洗浄は、超音波による微細な振動によって汚れを落とす方法です。
ウォッシャーディスインフェクターは、洗浄・すすぎ・熱水消毒・乾燥などを自動で行う機器です。

2.消毒とは

消毒とは

消毒とは、対象物から細菌芽胞をのぞく、病原性をもつ微生物を除去あるいは死滅させる方法のことです。

消毒の方法

消毒の方法には、「熱」を用いる方法、「消毒剤」を用いる方法などがあります。

さらに、消毒剤の使用方法によって、「浸漬法」(器材を消毒液に浸す方法)、「清拭法」(消毒液しみ込ませて拭き取る方法)、「散布法」(スプレーで撒く方法)、「還流法」(細長いチューブに還流させる方法)などの方法があります。

また、消毒剤には「高水準消毒剤」「中水準消毒剤」「低水準消毒剤」などの種類があります。それぞれ、対象となる微生物、消毒の対象物によって使い分けられます。

3.滅菌とは

滅菌とは

滅菌とは、有害・無害に関わらず、対象物に存在しているすべての微生物およびウイルスを完全に死滅あるいは除去することです。
確率論的には菌数をゼロにすることは出来ないので、実際には無菌保証レベル(SAL)というものが採用されます。SAL≦10の-6乗という基準が国際的に採用されています。

滅菌の方法

滅菌の方法には「高圧蒸気滅菌法」「EOG滅菌法」などの方法があります。

高圧蒸気滅菌法は、高温湿に耐えられる物品を滅菌する方法です。時間・コストが比較的少なくて済み、適用範囲が広いです。

EOG滅菌法は低温滅菌とも呼ばれます。耐熱性の少ないゴム製品・プラスチック製品などの滅菌に用いられます。滅菌時間・コストが比較的大きく、滅菌後の残留ガス(毒性がある)の除去に注意が必要です。

まとめ

今回は「洗浄・消毒・滅菌」について説明しました。

婦人科においては、普段の診療の中で「腟鏡」や「セッシ」「マルチン」といった医療器械を使います。

他の患者さんへの感染を広げないために、器械を使用した後には、適切に「洗浄・消毒・滅菌」を行う必要があるのです。

医療のプロとして、しっかりと「洗浄・消毒・滅菌」をおこない、安全・安心な医療を提供できれば幸いです。

この記事によって「洗浄」についての理解が深まり、日々の診療行為を安全・安心に受けられているのだと実感して頂ければ幸いです。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
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