子宮頸部異形成ってなんですか?

結論ですが

子宮頸部異形成とは、子宮の入り口の部分(子宮頸部)の細胞や組織の異常であり、「子宮頸がんの前がん病変」のことです。

この記事は「病気を指摘された」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「子宮頸部異形成」についてわかります。

婦人科を受診して、検査をおこなって「子宮頸部異形成」または「CIN〇」ですと言われて、「??」と思う場合があるでしょう。

そもそも子宮頸部異形成ってなんだろう?
異形成って難しい名前だな…
とくに症状はないのに…

など疑問や不安が出てくるかと思います。
しっかりと子宮頸がん検診を受けている人は、この「子宮頸部異形成」の状態で見つけることが出来ます。
「子宮頸部異形成」が見つかることは「子宮頸がんの前がん病変」でみつかるということです。適切に管理・治療につなぐことが出来れば、「子宮頸がん」への進展を予防することが出来るのです。

今回はそんな「子宮頸部異形成」について説明していきます。

この記事のまとめ

  • 子宮頸部異形成とは、子宮の入り口の部分(子宮頸部)の細胞や組織の異常であり、「子宮頸がんの前がん病変」のことです。
  • 子宮頸部異形成のほとんどが「無症状」ですが、「不正性器出血」が起こる場合もあります。
  • 子宮頸部異形成では、「細胞診」「組織診」「コルポスコピー」「HPV検査」などの検査が行われます。
  • 子宮頸部異形成は「定期的な検査」でフォローアップする、または「円錐切除術」「レーザー蒸散術」「子宮全摘出術」などの治療が行われます。

子宮頸部異形成ってなんですか?

子宮頸部異形成とは

子宮頸部異形成とは、子宮の入り口の部分(子宮頸部)の細胞や組織の異常であり、「子宮頸がんの前がん病変」のことです。子宮頸部上皮内腫瘍「CIN 」(Cervical Intraepithelial Neoplasia)ともよばれます。

子宮頸部異形成の原因

子宮頸部異形成のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因です。性交渉などによってHPVが子宮の入り口の部分に感染します。HPVが持続的に感染すると、「子宮頸部異形成」が形成され、さらに進展すると「子宮頸がん」となるのです。

子宮頸部異形成は3タイプがある

子宮頸部異形成は、「軽度異形成」(CIN1)、「中等度異形成」(CIN2)、「高度異形成・上皮内がん」(CIN3)の3種類あります。
HPVが持続的に感染すると、「軽度異形成」→「中等度異形成」→「高度異形成」→「上皮内がん」→「微小浸潤がん」と進行します。「微小浸潤がん」以上の病変がいわゆる「子宮頸がん」となります。

子宮頸部異形成の症状は?

ほとんどが無症状

子宮頸部異形成のほとんどが無症状です。
症状がないため、気が付いたら「子宮頸部異形成」から「子宮頸がん」になっている場合があります。「定期的な子宮頸がん検診」によって、早期発見・早期治療を行うことで、「子宮頸がん」を予防することにつながります。

不正性器出血

子宮頸部異形成では、月経以外に出血が起こる「不正性器出血」をみとめることがあります。子宮の入り口の部分(子宮頸部)の組織からの出血によるものです。とくに、性交渉を行った後に、子宮の入り口の部分が擦れてしまい、性器出血が起こることが多いです。

子宮頸部異形成はどのような検査を行いますか?

細胞診

子宮の入り口の部分を擦って細胞を採取します。そして、顕微鏡でのぞいて、細胞に異常がないか確認します。
いわゆる「子宮頸がん検診」ではこの「細胞診」の検査が行われます。

組織診

子宮の入り口の部分の組織を採取します。そして、顕微鏡でのぞいて、組織の異常がないか確認します。
いわゆる「子宮頸がん検診」において「細胞診」の異常があったときに、この「組織診」が行われます。

コルポスコピー

子宮の入り口の部分を「コルポスコピー」という拡大鏡を使って観察します。そして、酢酸という薬剤を使って、病変を見やすくします。
病変が疑わしい部分の組織を採取して、先ほどの「組織診」の検査も行われます。

HPV検査

子宮の入り口の部分から検体を採取して、HPVに感染していないか検査をします。
「子宮頸部異形成」のほとんどはHPVの感染によるものです。HPVにはさまざまな種類がありますが、「子宮頸部異形成」や「子宮頸がん」になりやすいHPVタイプのものが感染しているかどうか、感染しているHPVのタイプが何なのかズバリわかる検査などがあります。

子宮頸部異形成の治療は?

定期的な検査

(婦人科診療ガイドライン2020年より抜粋)

「子宮頸部異形成」のうち、「軽度異形成」(CIN1)、「中等度異形成」(CIN2)では、基本的には定期的な検査を行ないます。病変が悪化してこないか定期的に検査おこないフォローアップしていきます。
子宮頸部異形成は、感染しているHPVの種類によって、病変の悪化しやすさが変わります。おおよそ「3ヶ月から6ヶ月毎」にフォローします。婦人科ガイドラインを参考にフォローアップ計画を立てます。

ただし、「子宮頸部異形成」のうち、「中等度異形成」(CIN2)が持続する場合や、「高度異形成」(CIN3)などの場合では以下のような治療を行います。

円錐切除術

円錐切除術は、子宮の入り口の部分を円錐状に切除する手術です。子宮頸部異形成の病変の広がりを確認して、病変を切除して治療を行います。注意する事として、今後妊娠を予定している場合では、妊娠率がごく軽度ですが低下する可能性があること、子宮の入り口の長さが短くなるため妊娠した時に流産や早産となる確率が上がります。

レーザー蒸散術

レーザー蒸散術は、子宮の入り口の病変の部分をレーザーで焼灼する手術です。
流産や早産のリスクに影響を与えないため、妊娠を予定している場合は、円錐切除術でなくレーザー蒸散術を選択する場合が多いです。
ただし、円錐切除術に比べて病変の治療効果がやや落ちるのと、切除した組織の検査を行うことが出来ないというデメリットがあります。

子宮全摘出術

今後子供を一切希望しない場合や強い希望がある場合には、子宮摘出術が行われます。確実な治療法であるとともに、病変の広がりが正確に分かります。
ごくまれですが、子宮頸部異形成に隠れて子宮頸がんが判明する場合もあります。その時は追加の治療が必要になる場合もあります。

子宮頸がんを予防するために

「HPVワクチン」と「定期的な子宮頸がん検診」によって、子宮頸がんを予防することが出来ます。
「子宮頸部異形成」が形成され、さらに進展すると「子宮頸がん」となるのです。「HPVの感染」から「子宮頸部異形成」を経て「子宮頸がん」に進展するまでに、数年から十数年かけてかかると言われています。

「HPVワクチン」によって「HPVの感染」を予防することができます。
また、「定期的な子宮頸がん検診」によって「前がん病変である子宮頸部異形成」の早期発見・早期治療が可能であり、子宮頸がんを予防することが出来ます。

正しい知識と行動によって、子宮頸がんを予防して、自分の体を守りましょう。

まとめ

  • 子宮頸部異形成とは、子宮の入り口の部分(子宮頸部)の細胞や組織の異常であり、「子宮頸がんの前がん病変」のことです。
  • 子宮頸部異形成のほとんどが「無症状」ですが、「不正性器出血」が起こる場合もあります。
  • 子宮頸部異形成では、「細胞診」「組織診」「コルポスコピー」「HPV検査」などの検査が行われます。
  • 子宮頸部異形成は「定期的な検査」でフォローアップする、または「円錐切除術」「レーザー蒸散術」「子宮全摘出術」などの治療が行われます。

しっかりと「定期的な子宮頸がん検診」を受けている人は、この「子宮頸部異形成」の状態で見つけることが出来ます。
逆にいうと、「子宮頸部異形成」と診断される人は「定期的な子宮頸がん検診」を受けていることが多いです。

子宮頸がん検診の目的として、「子宮頸部異形成」という子宮頸がんの前がん病変を早期発見することがあります。そして、適切な管理、もしくは治療をおこなうことで「子宮頸がん」を防ぐことが出来るのです。

「子宮頸部異形成」と診断された場合には、担当医の指示をしっかりと守るようにしましょう。そして治療が必要がどうか、必要があれば治療方法も含めて、しっかりと相談するようにしましょう。

この記事によって「子宮頸部異形成」の理解が深まり、一人でも多くの人の役に立つことを願っています。

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