結論ですが
妊娠初期には、「吐き気」が起こることがあり、その「原因」「検査」「治療」について説明します。
この記事は「妊娠中」の女性に向けて書いています。
妊娠中の症状に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「妊娠初期の吐き気」についてわかります。
妊娠中ですが吐き気があります!大丈夫ですか?
このような悩みにお答えします。
具合が悪くて、とにかくしんどいです!!
全然、食事摂れていないけどどうしよう!
赤ちゃんに栄養足りているかしら…
さまざまな不安や心配が頭をめぐるかと思います。
妊娠すると、自分の体だけでなく、お腹の中の赤ちゃんのことも心配になるかと思います。
自分だけでなく、新たな命のことも考えると、心配は一段と増えるでしょう。
では、妊娠中に吐き気があるときどうすればいいですか?
今回は、「妊娠初期の吐き気」について説明します。
「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/
この記事のまとめ
1.吐き気の原因
妊娠初期の吐き気の原因として、「つわり」「悪阻」「感染性胃腸炎」などが挙げられます。
つわり
つわりは、妊娠初期の吐き気の原因として圧倒的に多いです。
つわりは、妊娠にともなうホルモン変化のため「吐き気」「おう吐」「食欲不振」などの症状がおこります。また、「味覚の変化」「空腹時の吐き気によって過食」「偏食」などもみられます。
悪阻
悪阻(おそ)は、つわりが重症化したものをいいます。
つわりが重症化して、食事はおろか水分も十分とれない状態になってしまい、栄養状態が悪化し、全身状態が悪くなった状態を「悪阻」といいます。
感染性胃腸炎
感染症胃腸炎とは、ウイルスや細菌などの感染症による胃腸炎です。
病原体を体の外に排出するため「おう吐」や「下痢」や、「腹痛」などの症状が起こります。ウイルス感染による胃腸炎が多く、毎年秋から冬にかけて流行します。
2.吐き気の検査
妊娠初期の吐き気の検査として、「体重測定」「尿中ケトン体」「食事・水分の摂取量」などが挙げられます。
体重減少
「つわり」によって、水分や食事摂取ができないと体重が減少します。
体重を測定して「5%以上の体重減少」がある場合は注意が必要です。
尿量低下
「つわり」によって、水分や食事摂取ができないと尿量が低下します。
いつもより尿回数が減っていたり、尿が濃い色をしている場合には、水分が不足していて脱水となっている可能性があり注意が必要です。
尿中ケトン体
尿検査で「ケトン体」という成分を検査します。
「ケトン体」は体に必要なエネルギーが足りない状態になると出現し、飢餓(きが)状態を反映します。尿中「ケトン体」を検査することで、体にエネルギーが足りていない状態なのか判断します。
3.吐き気の治療
妊娠初期の吐き気の原因は圧倒的に「つわり」や「悪阻」が多く、その治療に関してみていきましょう。
心身の安静・休養
「つわり」は「妊娠に伴うホルモンの変化」の他に「妊娠による環境の変化」や「ストレス」「精神状態」も関係しているといわれています。
心身ともに安静と休養を心がけ、リラックスして精神を落ち着かせることが大切です。
食事・水分摂取
食事や水分をすこしでも摂れるように、食事・水分摂取は少量で回数をおおくする工夫をします。時間帯によって体調の波があるかとおもいますが、体調が良い時間帯に積極的に食事・水分摂取をするようにしましょう。また、食べやすいものを選んで、少しでも口にすることが大切です。
点滴
つわり(悪阻)による吐き気が強すぎて全然食べることができない場合や、食べてもすぐに吐いてしまうような場合には、「点滴」によって水分・電解質・ビタミンなどを補います。
吐き気止め
すこしでも「つわり」の症状をやわらげるために「吐き気止め」を使います。
「吐き気止め」は妊娠中にも安全につかえますし、母体の健康状態が赤ちゃんの健康にもつながるため、基本的には妊娠中でも”必要な”くすりは使うようにしましょう。
ビタミンB1
「つわり」の症状がひどいと、水分やエネルギー・ビタミンなどの栄養が不足してきます。
とくに、「ビタミンB1」が不足すると「眼球運動障害」「失調性歩行」「意識障害」などの症状をきたす「ウェルニッケ脳症」となります。
「ウェルニッケ脳症」を予防するために点滴の中に「ビタミンB1」を入れる場合が多いです。
ビタミンB6
「ビタミンB6」は「つわり」の症状を和らげる効果があります。
「マルチビタミン」(ビタミンA1・B1・B2・B6・B12・C・D・E・葉酸ミネラル等含有)の投与で、つわりの予防効果があるとの報告もあります。ただし、ビタミンAは過剰摂取により胎児形態異常率が上昇するとの報告があり、摂取量を守ることが重要です。
血栓症の予防
「つわり」(悪阻)の症状がひどい場合には「血栓症」に注意が必要です。
症状がひどく、脱水となってしまうと、血液がドロドロとなってしまうと「血栓」という血のかたまりができる恐れがあります。さらに妊娠中というだけで血栓リスクは上がるので、とくに「重度の悪阻」の場合には血栓を予防するということが重要になってきます。
血栓予防のために、「簡単な運動」をおこなったり、「弾性ストッキング」や「フットポンプ」を着用したりします。また、非常に血栓リスクが高い場合には「抗凝固薬」(血液をサラサラにする薬)を使う場合もあります。
まとめ
今回は「妊娠初期の吐き気」について説明しました。
妊娠初期に吐き気がつらい場合には、かかりつけを受診して担当の医師に相談するようにしましょう。
とくに、食事や水分が全く摂れない場合には、点滴による治療や、入院加療が必要になる場合があります。
妊娠中に気になる症状があるときには、ためらわずに受診して相談するようにしましょう。
この記事によって「妊娠初期の吐き気」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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