結論ですが
「HPV」(ヒトパピローマウイルス)は、「子宮頸がん」や「尖圭コンジローマ」などの原因となるウイルスです。
この記事は「健康に関心のある」女性に向けて書いています。
女性特有の病気に関して理解を深めるお手伝いができればと思っています。
この記事を読むことで「HPVというウイルス」についてわかります。
じつは、子宮頸がんは予防できるがんです。
すべての女性が正しい知識をもって行動すれば、「子宮頸がん」のない世界は実現することができます。
今回の記事では「子宮頸がんの予防」について説明していきたいとおもいます。
この記事のまとめ
- 「HPV」(ヒトパピローマウイルス)は、「子宮頸がん」や「尖圭コンジローマ」などの原因となるウイルスです。
- 「HPVワクチン」で子宮頸がんを予防できます。
- 「定期的な子宮頸がん検診」と組み合わせることで「子宮頸がん」のほとんどが予防可能です。
- 「HPV6・11型」をカバーする「HPVワクチン」で「尖圭コンジローマ」を予防することができます。
HPVって何ですか?
HPVとは
「HPV」とは、Human Palilloma Virus(ヒトパピローマウイルス)の略称で、日本語で「ヒト乳頭腫ウイルス」と言います。
感染すると、乳頭(ちくび)のように盛り上がった「いぼ」みたいなできものが形成されることから、この名前がついています。
HPVは「ありふれたウイルス」
「HPV」は身近に存在しているウイルスであり、いつでもどこにでもある「ありふれたウイルス」として知られています。「HPV」に接する機会も高く、我々の生活にとても馴染み深いウイルスです。
HPVは様々な種類がある
「HPV」は様々な種類があり、100種類以上のタイプが知られています。
その中でも悪性腫瘍と関係がある「ハイリスク」のもの、尖圭コンジローマなど良性腫瘍と関係がある「ローリスク」のものがあります。
HPVのほとんどが自然排除される
「HPV」は「ありふれたウイルス」であり感染しても、そのほとんどは自分の免疫によって自然排除されます。しかし、「HPV」が自然排除されなかった場合は、持続感染することになり、「いぼのようなできもの」が形成されます。つまり、HPVが持続感染した部位に「良性腫瘍」や「悪性腫瘍」(がん)などの腫瘍が形成されることになります。
HPVによる疾患
「HPV」の持続感染によって、腫瘍が形成されます。「HPV」の型(タイプ)によって、形成される腫瘍が異なり、それぞれに疾患の名称が付けられています。
たとえば、「HPV16・18・31・52・58型」などのハイリスク型のHPVによって「子宮頸がん」、「HPV6・11」では「尖圭コンジローマ」、「HPV2・4」では「尋常性疣贅」(じんじょうせいゆうぜい)、「HPV3・10」では「青年性扁平疣贅」などが挙げられます。また、「外陰がん」「咽頭がん」などの原因にもなります。
HPVと子宮頸がん
子宮頸がんのほとんどがHPVが原因
子宮頸がんのほとんどは「HPV」による感染が原因です。
性交渉などによって「HPV」が子宮の入り口近い部分(子宮頸部)に感染します。多くは自分の免疫で自然排除されますが、感染が持続します。「HPV」が持続感染すると、「異形成」という前がん病変を経て、「微小浸潤がん」以上に進行すると、いわゆる「子宮頸がん」と呼ばれる状態になります。
HPVワクチンで子宮頸がんを予防できる
子宮頸がんの予防接種として知られている「HPVワクチン」によって、子宮頸がんを予防することできます。
HPVワクチンはHPVの感染自体を予防することで、「子宮頸がん」や前がん病変である「異形成」の発生を防ぐことができます。
現在、日本で接種できるHPVワクチンは「2価ワクチン」(HPV16・18型の感染予防)と「4価ワクチン」(HPV 6・11・16・18型の感染予防)があります。最近では「9価ワクチン」(HPV6・11・16・18・31・33・45・52・58型の感染予防)も登場しています。
「HPV 6型・11型」はがん発生には関与しませんが、「HPV16型・18型」は子宮頸がんになるリスクが非常に高く、日本における子宮頸がん症例の「約60%」で検出されています。
単純計算ですが、日本においてHPVワクチンを接種すると、子宮頸がんの「約60%」が減ることになります。
「定期的な子宮頸がん検診」でさらなる予防効果を
子宮頸部(子宮の入り口に近い部分)にHPVが持続感染すると「異形成」という前がん病変となります。さらにHPVが感染している状態が続くと、「微小浸潤がん」という状態となります。「微小浸潤がん」よりも進行した状態を「子宮頚がん」と呼びます。
「HPVの感染」から「子宮頚がん」になるまでは、数年から十数年かかると言われています。「定期的な子宮頸がん検診」によって「異形成」と呼ばれる前がん病変のうちに見つけることが出来れば「円錐切除術」や「レーザー蒸散術」などの比較的小さな治療で済むことになります。
がん診療は、「早期発見」「早期治療」が原則と言われます。
子宮頚がん検診では、前がん病変である「異形成」を見つけて、それがガンに進行しないように早めに治療するということで、「子宮頸がん」の予防につながります。
「子宮頸がん検診」と「HPVワクチン」の組み合わせ
「子宮頸がん検診」と「HPVワクチン」の組み合わせることで、子宮頸がんの予防効果がさらに発揮されます。
繰り返しになりますが、「HPVワクチン」によってHPV16・18型が原因の子宮頸がんは予防することができ、日本における子宮頸がんの「約60%」減ることになります。
そして、「HPVワクチン」でカバーされていない他の型のHPV感染に対しては、「定期的な子宮頸がん検診」によって、そのほとんどを「前がん病変」のうちに診断・治療することができ、子宮頸がんへの進展を防ぐことになります。
子宮頸がんは、「定期的な子宮頸がん検診」と「HPVワクチン」によって撲滅できるガンです。正しい知識と行動によって子宮頸がんを予防していきましょう。
HPVと尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとはどんな病気ですか?
「尖圭コンジローマ」は「HPV6・11型」による感染症です。
おもに性行為によって「HPV6・11型」が感染します。「HPV6・11型」が持続感染すると外陰部・会陰・肛門周囲などに「先の尖ったイボ」が形成されます。その病変を「尖圭コンジローマ」とよばれます。
尖圭コンジローマはどんな症状ですか?
外陰部・会陰・肛門周囲などに、「先の尖ったイボ」が形成されますが、「痛みをともなわない」ことが多いですが、「かゆみ」を来すことがあります。
女性の場合は性行為をした「3週間から8ヶ月あたり(平均3ヶ月程度)」で発症します。ヒトパピローマウイルスの潜伏期間は長いため、現在症状がみられなくて後からパートナーに発症することがあるため注意しましょう。
HPVワクチンで尖圭コンジローマの予防可能
4価以上のHPVワクチンによって「尖圭コンジローマ」の発生を防ぐことができます。
具体的にいうと、尖圭コンジローマの原因である「HPV 6型・11型」をカバーしている「4価ワクチン」と「9価ワクチン」によって「尖圭コンジローマ」を防ぐことができます。
尖圭コンジローマは性感染症です。ワクチンによって、「子宮頸がん」だけでなく「尖圭コンジローマ」も防ぐことが出来るのです。
まとめ
- 「HPV」(ヒトパピローマウイルス)は、「子宮頸がん」や「尖圭コンジローマ」などの原因となるウイルスです。
- 「HPVワクチン」で子宮頸がんを予防できます。
- 「定期的な子宮頸がん検診」と組み合わせることで「子宮頸がん」のほとんどが予防可能です。
- 「HPV6・11型」をカバーする「HPVワクチン」で「尖圭コンジローマ」を予防することができます。
日本において、「子宮頸がん」は若い女性で増えています。
とくに20代・30代での増加が著しいです。
「HPVワクチン」が普及して先進国のほとんどは子宮頸がんが減少傾向であります。
日本は国際的に遅れている状況です。
じつは、子宮頸がんは予防できるがんです。
すべての女性が正しい知識をもって行動すれば、「子宮頸がん」のない世界は実現することができます。
産婦人科を受診すれば、「HPVワクチン接種」と「子宮頸がん検診」を受けることができます。
産婦人科の受診はハードルが高いと思いますが、正しい知識と行動によって子宮頸がんを予防していきましょう。自分自身の健康を守れるのは自分自身のみです。
この記事によって「HPV」の理解が深まり、一人でも多くの人に役立つことを願っています。
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