性感染症【診療案内】

結論ですが、
性行為などによって感染する病気を「性感染症」と呼ばれます。

この記事は「婦人科の受診で悩んでいる」女性に向けて書いています。
婦人科受診に関する疑問・悩み・不安などが解決できればと思っています。
この記事を読むことで「性感染症の診療」についてわかります。

陰部にできものがある…
おりものがいつもと違う!?
パートナーが性病だった!!

このような時に、自分が性病なのか心配になり、婦人科を受診しようか悩むことがあるかと思います。
いざ、実際に受診しようと思ったときに、医療機関が沢山あって、どこのクリニックを受診すればいいのか迷うかと思います。

私事ですが、2021年7月に「宮の沢スマイルレディースクリニック」(北海道札幌市)を開院する予定です。

今回は、当院における「性感染症の診療」について、紹介していきたいと思います。

「宮の沢スマイルレディースクリニックホームページ」
https://www.miyanosawa-smile-lc.com/

この記事のまとめ

性感染症

おもに性行為によって感染することを「性感染症」(STI/STD)とよばれます。

厳密には、単に感染するものを「STI」(Sexually Transmitted Infection)、感染して症状を発症することを「STD」(Sexually Transmitted Disease)とよばれます。
性感染症には、

  • 症状がないこともある「クラミジア」「淋菌」
  • 症状がない時期が長い「B型肝炎・C型肝炎」「HIV」
  • 性器に病変を認める「尖圭コンジローマ」「性器ヘルペス」「梅毒」
  • おりもの異常を認める「トリコモナス」「カンジダ」

などがさまざまあります。
それぞれの性感染症の特徴や、症状、検査方法など順に説明していきます。

1.クラミジア

「クラミジア」にはいくつか種類がありますが、「クラミジア・トラコマティス」というタイプがあります。

主に「性行為」によって感染をおこし「性器クラミジア感染症」となります。
無症状のことが多いですが、「子宮頸管炎」から感染が広がり「発熱」「腹痛」などの症状を来たします。また、「不妊症」につながることもあります。
さらに、オーラルセックスによって口の中に感染すると「咽頭痛」「扁桃炎」など感冒症状を呈します。

「クラミジア」は、「おりもの」や「のど」をぬぐう検査をしたり、「血液検査」で抗体を調べます。

2.淋菌

「淋菌」は「ナイセリア・ゴノレア」という細菌が原因の感染症であり、主に「性行為」によって感染します。

男性では「尿道炎」から「排尿痛」や「膿尿」などの症状が起こります。
女性では無症状のことが多いですが、「子宮頸管炎」から感染が広がり「発熱」「腹痛」などの症状を来たします。また、「不妊症」につながることもあります。
さらに、オーラルセックスによって口の中に感染すると「咽頭痛」「扁桃炎」など感冒症状を呈します。

「淋菌」は、「おりもの」や「のど」をぬぐう検査をします。

3.梅毒

「梅毒」は、「梅毒トレポネーマ」という病原体が原因の感染症です。

おもに性行為(セックス・オーラルセックス・アナルセックスなど)の際に、血液・精液・腟分泌液などの体液を介して感染します。
梅毒の症状は、「性器」や「全身の皮膚」にできものが出来るのが特徴であり、感染してからの時期によって現れる症状の特徴があり「1期」から「4期」まであります。

「梅毒」は「血液検査」や「視診」(皮膚のできものを見る)で調べます。

4.B型・C型肝炎ウイルス

「B型・C型肝炎ウイルス」は、その名の通り肝炎を引き起こすウイルスです。

血液を介して感染し、「性行為」や「輸血」「いれずみ」「分娩時」などが主な感染経路になります。
基本的には無症状ですが、「慢性肝炎」から「肝硬変」「肝がん」につながる可能性があります。

「B型・C型肝炎ウイルス」は「血液検査」で調べます。

5.HIV

「HIV」とは、「Human Immunodeficiency Virus」(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、免疫細胞に感染するウイルスです。

血液や体液を介して感染し、「性行為」や分娩・授乳の時の「母子感染」などが主な感染経路になります。
感染して間もない時期には「発熱」「リンパ節の腫れ」「のどの痛み」「皮疹」「筋肉痛」「下痢」などの症状が見られます。その後、症状がない「無症候期」を経て、「エイズ発症期」となり、免疫不全状態からさまざまな感染症にかかるようになります。

「HIV」は「血液検査」で調べます。自治体で無料で行っている所もあります。

6.尖圭コンジローマ

「尖圭コンジローマ」は、「HPV」(ヒトパピローマウイルス)とよばれるウイルスによる感染症です。

おもに性行為によって感染し、外陰部・会陰・肛門周囲などに「先のとがったイボのような病変(疣贅)」を来します。

「尖圭コンジローマ」は基本的には「視診」(病変をみること)で診断しますが、希望があれば「HPV検査」を行う場合もあります。

7.性器ヘルペス

「性器ヘルペス」は、「単純ヘルペスウイルス(1型,2型)」とよばれるウイルスによる感染症です。

主に性行為によって感染し、性器や口唇などに「みずぶくれ」や「浅い潰瘍」などの病変を来します。また、「発熱」や「リンパ節の腫れ」など認めることもあります。

「性器ヘルペス」は基本的には「視診」(病変をみること)で診断しますが、補助的に「血液検査」で抗体を調べたり、病変を拭う検査を行う場合もあります。

8.トリコモナス

「腟トリコモナス症」は、「トリコモナス」という原虫による感染症です。

おもに性行為によって感染し、おりもの異常が見られます。とくに腐ったような悪臭をともなう黄色がかった「おりもの」の場合は「トリコモナス」を強く疑われます。

「トリコモナス」は、「おりもの」の「顕微鏡検査」で診断します。

9.カンジダ

「カンジダ腟症」または「外陰腟カンジダ症」は、「カンジダ」(カビの一種)による感染症です。

おもに性行為によって感染し、「おりもの異常」や「外陰部のかゆみ」が見られます。とくに「酒粕」「お粥」「ヨーグルト」のような「おりもの」の場合は「カンジダ」を強く疑われます。

「カンジダ」は、「おりもの」の「顕微鏡検査」で診断します。

10.HPV

「HPV」とは、「Human Palilloma Virus」(ヒトパピローマウイルス)のことで、イボをつくるウイルスのことです。おもに性行為によって感染します。

「HPV」にはさまざまな種類があり、形成される病変に名前が付いています。
たとえば、「HPV6・11」では先ほど説明した「尖圭コンジローマ」、「HPV16・18・31・52・58型」などのハイリスク型のHPVによって「子宮頸がん」、「HPV2・4」では「尋常性疣贅」(じんじょうせいゆうぜい)、「HPV3・10」では「青年性扁平疣贅」などが挙げられます。さらに、ハイリスク型のHPVによって「外陰がん」「肛門がん」「直腸がん」「咽頭がん」など引き起こります。

子宮頸がんのほとんどは「HPV」による感染が原因です。
「HPVワクチン」と「定期的ながん検診」で子宮頸がんを予防することが出来ます。是非とも受けるようにしましょう。

まとめ

今回は「性感染症」について説明しました。

「性病かもしれない…」と思ったときに、婦人科を受診するかどうか迷ってしまう場合があるかと思います。
「こんなことで受診していいのか…」と思ってしまう人もいます。

勇気を出して婦人科を受診して相談するようにしましょう。
きっとあなたの悩みが解決できます。
婦人科はあなたの味方です。

性感染症の種類によっては、放っておくと不妊症につながる場合もあります。
心配であれば、早めに受診するようにしましょう。

今後も引き続き、皆さんの健康に役立つ情報を発信していきたいと思います。

そして、2021年7月の「宮の沢スマイルレディースクリニック」(北海道札幌市)開院に向けて準備をすすめていきます。

女性特有の悩みがあった場合はもちろんのこと、症状がない時にも健康管理を行なったり、病気の予防などをサポートしていけるようなクリニックを目指していきたいと思います。

この記事によって、「性感染症の診療」についての理解が深まり、婦人科受診の悩みが解決し、健康的に笑顔で過ごせる人が一人でも多くなることを願っています。