結論ですが
ピルを安全につかうために確認すべきことがあります。
この記事は「ピルを飲んでいる」女性向けに書いています。
この記事を読むことで「ピルをのんでいるときに確認したいこと」がわかります。
ピルを安全につかうために、定期的に診察をうけることが大切です。くすり全般にいえることですが、「良い面」も「悪い面」もあります。
「良い面」と「悪い面」のバランスを見極めて、リスクをマネジメントして使うことで、安全にピルを使うことができます。
今回、「ピルの処方をうけるときに、どんな検査をおこなうのか、どんなことを確認するのか」について7つに絞って説明していきたいと思います。
この記事のまとめ
- 血液検査:「肝機能」「腎機能」「血球」「凝固系」など
- がん検診:とくに「子宮頸がん」「乳がん」の検診を
- 性感染症:ピルは「性感染の予防効果」はない
- 血圧、体重:「高血圧」「体重増加」に注意
- 喫煙:「35歳以上」「1日15本以上の喫煙」でピルを使用できない
- 新たな疾患:疾患が発生したり、みつかった場合、手術が必要な場合
- ライフステージ:「年齢」「妊娠希望」「閉経」など
1.血液検査
くすり全般的にいえることですが、くすりを飲むと肝臓で解毒されたり、腎臓でおしっことして排泄されます。肝臓や腎臓に負荷がかかり障害をうけていないか、血液検査で「肝臓の機能」や「腎臓の機能」を確認します。
また、もともと月経が多い人がピルを使用している場合もあり、貧血の値など「血球」もあわせて確認します。
さらに、ピルをのむと「血栓」という血液のかたまりが出来るリスクがあがるため、血液のかたまりやすさ「血液凝固系」の検査も必要に応じておこないます。
2.がん検診
ピルをのむと「子宮頸がん」「乳がん」の発症リスクがあがる可能性があります。がん診療は「早期発見」「早期治療」がとても大切です。
とくに症状がなくても、定期的に「子宮頸がん」「乳がん」の検診を受けましょう。
おそらくピルの処方をうける婦人科で「子宮頸がん検診」は一緒に受けることになるかと思います。子宮筋腫など指摘されている人はとくに「内診」や「エコー検査」も一緒に受けるようにしましょう。
なお、「乳がん検診」は乳腺外科など婦人科以外で受けることになることが多いので、自分で検診の予定を組みましょう。とくに身内に乳がんの人がいる場合は1年毎の検診を、乳房のしこりなど症状がある場合は必要におうじて乳房の診察を受けるようにしましょう。
3.性感染症
ピルは「避妊効果」はありますが、性行為による「性感染症の予防効果」は残念ながらありません。
性交渉をしてから…
- 陰部がかゆくなってきた
- 陰部にできものが出てきた
- おりものがいつもと違っている
などの症状がある場合は性感染の検査をおこないましょう。
性感染は症状が軽く、感染していても気づかないことがあります。
パートナーがじつは性病があることがわかった場合など少しでも心配な場合は、主治医と相談して性感染の検査を受けるようにしましょう。
4.血圧、体重
ピル内服と、血圧や体重増加へは直接的な影響はないといわれています。
ただし、血圧があがったり、体重が増えすぎた場合には、ピルの慎重投与が必要になったり、ピルを使用できない場合になるため、定期的に測定することが大切です。
血圧
「上の血圧(収縮期血圧)が140-159mmHg、下の血圧(拡張期血圧)が90-99mmHg」の場合、軽度の高血圧にあたるため、ピルの慎重投与が必要になります。「上の血圧(収縮期血圧)が160mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が100以上」の場合、重度の高血圧にあたるため、ピルを使用できません。
体重
とくに体重が増えて「BMIが30以上」となった場合、血栓症などふくめ心臓血管疾患のリスクがあがるため、ピルの慎重投与が必要になります。
5.喫煙
「35歳以上」で「1日15本以上の喫煙」をしている場合はピルを使用することができません。
喫煙によって、心筋梗塞などの心臓血管疾患のリスクが高くなり、命をおとしてしまう可能性があるためです。
ピルをのんでいる期間に、タバコを始めて、タバコの本数が増えてしまった場合は、ピルを安全に使用することが出来なくなります。
6.新たな疾患
ピルを内服中に、新たに疾患が発生したり、みつかる場合もあります。
とくに他の医療機関で指摘された場合は把握できていないことがあるため、かならずピルを処方している主治医に伝えるようにしましょう。
疾患の種類によっては、ピルを使用することができない場合があります。
ピルを使えない疾患として、「前兆をともなう片頭痛」、「抗リン脂質症候群」など血栓症のリスクのある疾患、「重度の肝障害・肝腫瘍」「重度の高血圧」「重度の糖尿病」「重度の心臓弁膜症」「耳硬化症」などがあります。また、ピルの慎重投与が必要な疾患として、「前兆をともなわない片頭痛」「ポルフィリン症」「てんかん」「炎症性腸疾患」などあります。
また、手術が必要な疾患にかかった場合は、手術前後はピルを休薬する必要があります。手術にともなう血栓リスクがあるので、「手術前4週以内」と「手術後2週以内」はピルを休薬する必要があります。
ピルを内服中に、新たに病気が発生したり、みつかった場合、手術が必要な場合には、かならず主治医に伝えるようにしましょう。
7.ライフステージ
ピルを使っている場合、「年齢」と「妊娠希望」「閉経」などライフステージを意識する必要があります。
長期にピルを使っていると、いつの間にか…
- ピルを慎重に投与しなくてはならない「40歳以上」になっていたり、
- ピルを使用してはいけない「50歳以上」や「閉経」になっている
ということがあります。
ときおり自分の年齢を振り返ってみることが大切です。
また、ピルをのんでいては妊娠できません。
妊娠希望がある場合は、ピル内服をやめることを主治医と相談しましょう。
まとめ
- 血液検査:「肝機能」「腎機能」「血球」「凝固系」などの定期検査をうけましょう。
- がん検診:とくに「子宮頸がん」「乳がん」の検診を受けましょう。
- 性感染症:ピルは「性感染の予防効果」はないため、必要におうじて検査をうけましょう。
- 血圧、体重:「高血圧」「体重増加」に注意して、毎回はかるようにしましょう。
- 喫煙:「35歳以上」「1日15本以上の喫煙」でピルを使用できないです。
- 新たな疾患:新たな疾患がみつかったり、手術が必要な場合は伝えましょう。
- ライフステージ:「年齢」「妊娠希望」「閉経」などを意識しましょう。
ピルはうまく使うと、女性の生活の質はとても上がります。
生理の量が減ったり、生理痛が和らいだり、避妊効果もあるため家族計画にも役立ちます。
ただし、くすりには「良い面」もあれば「悪い面」もあります。
それらをうまくマネジメントしていくことで、ピルをうまく活用することにつながります。
ひとりでも多くの女性が、よりよく生活できることになることを願っています。
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